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「レディー・ガガのようにカッコよく!」島田麻央(14歳)、180度開脚“超人スピン”にジャッジも最高評価「もっと、速く、速くと思って」
posted2023/09/25 17:00
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph by
Asami Enomoto
“昨季の世界ジュニア女王”のタイトルに、微塵もプレッシャーを感じてはいなかった。ジュニアGPシリーズ大阪大会(9月14~16日)で島田麻央(14)は、シニア選手を含めての今季世界最高得点をマークし、圧巻の優勝を果たした。
「去年は初めてのジュニアのシーズンで、世界でどこまで通用するか分からなかったのでとにかく自分の良い演技をして行ける所まで行こうと思っていました。今年は世界でのだいたいの位置が分かっていたので、優勝を目指して臨みました」
その瞳は、わずか14歳とは思えない確信に満ちていた。
テーマは「レディ・ガガのようにかっこよく!」
7年ぶりの日本開催となったジュニアGPシリーズ第4戦。これが今季の国際大会初戦となる島田は、この日を心待ちにしていた。
「私は4戦目だったので、第1、2、3戦を見ながら『早く出たいなあ』と思っていました。日本開催なので、プレッシャーよりも、皆さんの前で良い演技をしたいという思いがありました」
ショートはレディー・ガガの『Americano』。すでにアイスショーで何度も演じ、滑りに磨きをかけてきた。テーマは、「レディー・ガガさんのようにかっこよく!」だ。
「アイスショーでの衣装は半袖で少し可愛い感じだったので、大人っぽくしたかったので、長袖にしました。なるべくレディ・ガガさんに近づけるように自分なりに強い女性を演技したり、メイクも(アイラインを濃くするなど)フリーと違うメイクをしています」
ジュニアの試合は、規定によりショートではトリプルアクセルなどの大技を入れることが出来ない。「少しでも『進化したね』って言われる部分があるように」と考えた島田は、演技最後のI字スピンに工夫を凝らしてきた。
「最後のスピンで盛り上げて終わりたいというのがあったので、かなり練習してきました。毎回、『もっと速く、速く』と思って練習してきました」
一般的なI字スピンは、片足を前に持ち上げて、前後開脚の姿勢で回る。足を真上に上げるほど見た目もI字に近づく技だ。しかし上半身はどうしても少し後方に位置するため、実際には完全な1本の棒のようになることは、人間の体の構造上、難しい。
“体の構造の壁”を打ち破る超人的スピン
ところが今季の島田は、その“体の構造の壁”を、打ち破ってみせた。