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「龍一は悩んでいました」木原龍一と高橋成美が“ペア解消”した真実…「言葉には表せない“相性”があるんだ」葛藤する木原が三浦璃来と出会った日
posted2026/03/04 06:01
ソチ五輪団体で演技を行う高橋成美・木原龍一ペア
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
JIJI PRESS
2019年11月23日。NHK杯のペア・フリーが行われた。
離れた位置から互いに右手をまっすぐ差し伸べてフィニッシュする。そのとたん、2人――三浦璃来と木原龍一の表情に、笑みが弾けた。
ペア結成を発表してわずか3カ月、国際大会のデビュー戦となった試合で見せた笑顔は、困難な時期を乗り越え、再びスタートできる喜びを示しているようであった。何よりも「滑ることが楽しい」と伝えるようだった。
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その後を思えば、象徴的な笑顔だった。
ペア結成前から仲が良かった木原龍一と高橋成美
木原龍一は小学生の頃から全国大会で上位の成績を残し頭角を現した。2011年には世界ジュニア選手権にも出場、10位の結果を残している。
中学生の頃は小柄だった印象があったが、成長期を迎え、いつしか、日本男子では高身長の選手になっていた木原は、2013年1月、高橋成美とのペア結成を発表する。そこに至るにはペア強化を図る背景があった。
2011年4月、ソチ五輪で団体戦が採用されることが決まった。ただ、日本は高橋成美/マーヴィン・トランが国際大会で活躍していたものの、それを除けば皆無。トランはカナダ国籍でもあり、団体戦を考えればペアの育成と強化は急務だった。2011年の夏、日本スケート連盟はトライアウトを実施。転向する気持ちはなかった木原も呼ばれて参加していた。
しかも2012年12月、高橋はトランとのペアを解消。日本のペアを巡る状況はより厳しさを増す中、高橋が次のパートナーとして思い浮かんだのが木原だった。2011年のトライアウトのとき、高橋は相手役として参加していたが、そのときの感触がよかったのと、もともとジュニアの頃から同じ大会に出ることがあり、「ちょっとふざけてペアの真似事とかもしたことがありました」というくらい、仲もよかったことが背景にあった。

