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「レディー・ガガのようにカッコよく!」島田麻央(14歳)、180度開脚“超人スピン”にジャッジも最高評価「もっと、速く、速くと思って」
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAsami Enomoto
posted2023/09/25 17:00
今季世界最高の213.86点で圧巻の優勝を果たした島田麻央(14歳)
まず昨季までと同様に足を前後開脚させるI字ポジションで回ったあと、フリーレッグを少しだけ横にズラす。すると足は横への180度開脚、いや190度開脚くらいのポジションになり、フリーレッグと上半身がピタリと一体化。完全なる「1本の棒」に見えるポジションを完成させたのだ。回転軸が細くなることで、慣性の法則から、回転速度は一気に上がる。速度とポジションの両面で、超人的なスピンを生み出した。
「回っている途中からたくさん拍手をいただけて、それが聞こえたので、気持ちよく終わることができました。回転速度も良かったと思います」
ジャッジ9人中7人が「+5」をつける、最高のクオリティのスピンだった。
演技全体のスピードもあり、3本のジャンプもパーフェクト。合計73.78点の自己ベストがでると、笑顔をみせた。
「73点も出ると思わなかったのでびっくりしました。去年とは違う曲調で表現も頑張ったのでそこが評価されたのかなと思います。ジャンプ3本が決まったあとは、この場を楽しもうと思いながら滑りました」
その発言は、ショートを完璧に滑りぬくことへの余裕すら感じさせた。
「切り替え」と「挑戦し続けること」
さらに“ジュニア女王”としての真骨頂を示したのは、翌日のフリーだった。フリーの試合を前に、島田は今季のメンタル面についてこう語った。
「昨季に世界で1位になったということは、考えないようにして、切り替えています」
『どうやって切り替えているのか』という質問にも、迷いなく答える。
「挑戦し続けることです」
その島田が、この試合で見据えているのは、トリプルアクセルと4回転トウループの両方を成功させること。
しかし現地入りしてからの島田は、4回転トウループに苦戦していた。一方、トリプルアクセルは昨季よりも力強さが増し、回転不足の心配もまったくない完璧なジャンプに仕上がっている。
「両方の調子を上げるのが難しいです。トリプルアクセルは前向きに踏み切る、4回転トウループは後ろ向きに踏み切る、ぜんぜん違うジャンプなので。この大会までの1週間は、4回転の調子を上げることが難しいまま試合(会場)に来ていました」
4回転ジャンプにも挑戦
島田を指導する濱田美栄コーチも、以前、こう語っていた。