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「ニコニコの2人ってことで!」岸本彩良(16歳)&田村篤彦(19歳)の新カップルが国際デビュー…“危険度高め”のダイナミックな演技
posted2023/09/27 17:00
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph by
Asami Enomoto
「岸本彩良、田村篤彦組、ニッポン~」
2人の名前が関空アイスアリーナに響きわたる。名前のコールに応えるように、観客席で、いくつもの日の丸が揺れた。「さらあつ~」とファンが叫ぶと、岸本は思わず、観客席を振り返って両手を振った。本番前だというのに、客席に挨拶する選手など、見たことがない。
「フリーはプログラムも大好きなので楽しみだったのと、観客席の皆が手を振ってくれているのが見えて、楽しくて。なんだかショーに出ているような感じがして、私も『あー!』って手を振ってしまいました。それくらい楽しく滑ることができました」
ジュニアGP第4戦となる日本大会。岸本(16)&田村(19)組の国際公式戦デビューは、そんな笑顔にあふれる演技だった。
モントリオールを拠点に世界を目指す「さらあつ」
通称「さらあつ」。まだ知名度は低いかもしれない。しかし確実に、2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪への代表権争いに絡んでくる若手カップルだ。岸本は三重県出身で、現在は中京大付属中京高に所属。田村は東京を拠点にアイスダンスにとりくんできた。2人は昨季夏にチームを結成すると、アイスダンスの聖地であるモントリオールを拠点に、世界を目指してきた。
モントリオールは、北京五輪金メダルのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組(フランス)のほか、昨季の世界王者マディソン・チョック&エバン・ベイツ組(米国)など、世界中の強豪カップルが、たった1つの拠点で練習している。
「モントリオールでの練習は、本当に雰囲気がすごくて、アイスダンスのオーラをビリビリと肌で感じ取る毎日です。表現力がある人、エッジワークがすごい人、色々なお手本になる人がいるので、僕たちもいつかできるようにと思って見ています」(田村)
「周りのカップルがみな凄すぎて、見とれていて、私の口がずっと開きっぱなしになっています。先生にいつも『彩良、口開いてるよ』と言われてます(笑)」(岸本)
初めてのジュニアGP大会で
刺激的な環境のなか、2人は着実に成長してきた。昨季の全日本ジュニアは、133.82点で2位。今年2月のバーバリアンオープンでは140.00点で5位、今年8月のケベックサマー大会では142.52点で優勝した。