Jをめぐる冒険BACK NUMBER
25歳の海外挑戦は遅いのか? “三笘世代”のファンタジスタ伊藤涼太郎「神様がくれた最後のチャンス」「航くんは今、リバプールにいる」
posted2023/09/20 11:02
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Atsushi Iio
今季のJ1リーグ前半戦で、サッカーファンを沸かせたトピックス――。それが、6年ぶりにJ1に復帰したアルビレックス新潟を牽引する、伊藤涼太郎のファンタスティックなプレーの数々だった。
4月15日のアビスパ福岡戦でのハットトリックを含め、17試合で7得点4アシストをマークし、2・3月度のJ1月間MVPにも選出された。
夏の海外挑戦は「決めていました」
浦和レッズ、大分トリニータ時代はコンスタントに試合に出られなかった伊藤にとって、これがプロキャリアで初めてのJ1での活躍。プロ8年目にしてようやくその才能が花開いたのだ。
シーズン序盤から、伊藤は活躍の場を与えてくれた新潟への感謝を口にし、「このチームでタイトルを獲りたい」と繰り返し語っていた。
だから、今夏の海外挑戦はまさに電撃移籍で、驚きを持って受け止められた。
ところが、伊藤自身は「この夏に移籍するということは、シーズンが始まってしばらく経った頃から決めていました」と明かす。
「もちろん、アルビへの感謝の気持ちはすごくあるし、このチームでタイトルを獲りたいという思いも本当でした。だから、シーズン途中で移籍するのは申し訳なかったし、寂しさもあって、すぐに決められたわけではないです。ただ、海外でプレーすることは子どもの頃からの夢だったし、サッカー選手として、人間としてもさらに成長するためには、こういう決断も絶対に必要だなって。自分のサッカー人生なので、誰かに相談することなく、自分で決断しました」
子どもの頃はロナウジーニョに憧れ、いつかバルセロナでプレーすることを夢見ていた。J1で活躍できていなかったから口にするのも憚られたが、海外挑戦は心の奥にしまい込んだ夢だった。
そんな伊藤の海外挑戦への思いを、あらためてかき立てたものがあった。
同年代の日本代表選手たちの活躍である。