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阪神優勝の9回表に流れた『栄光の架橋』、横田慎太郎は「この曲とともに甲子園で試合に出る」と誓っていた…鳴尾浜で目指した“脳腫瘍”からの復活
text by
横田慎太郎Shintaro Yokota
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/09/16 11:01
優勝の瞬間、歓喜の輪には背番号「24」、横田慎太郎のユニフォームが加わっていた。優勝の直前、9回表に流れた『栄光の架橋』の秘話を紹介する
1月に大腸がんの手術を受け、6月に復帰して最初の打席でいきなりタイムリーを放った原口文仁さんにも刺激を受けました。先を越されたのは正直、悔しい気持ちもありましたが、たがいに復帰を目指していた4月にかけていただいた「ふたりで甲子園のお立ち台に立とうな」「何をするにしても前を向いていこう」という言葉にはおおいに勇気づけられたものでした。
誕生日にあったファンからのサプライズ
6月9日の24回目の誕生日には、こんなサプライズもありました。練習を終えて帰ろうとすると、スタンドにいたファンの方から声をかけられました。
「球場裏に来てください」
行ってみると、24番のユニフォームやタオルを身につけた人たちがたくさん集まっていて、「ハッピー・バースデー」の大合唱が始まったのです。合唱はその後、僕の応援歌へと続きました。もう、泣きたいほど感激しました。
会う人会う人がみな、復帰に向かうための勇気をくれました。そのたびに思いました。
「感謝は結果で返すしかない」
復帰して2年目のシーズンは、前年よりさらに強い決意とともにスタートしました。
けれど――。
(続く)