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「僕が一番感じたのは、やっぱり大谷翔平選手なんです」今永昇太30歳が語る“あれから”…痛感した「メジャーリーガーに絶対投げちゃいけない球」 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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posted2023/09/14 11:08

「僕が一番感じたのは、やっぱり大谷翔平選手なんです」今永昇太30歳が語る“あれから”…痛感した「メジャーリーガーに絶対投げちゃいけない球」<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

横浜DeNAベイスターズ、今永昇太投手(30歳)。「やっぱり大谷翔平選手なんです」今永が今でも思い出す印象的なシーンとは?

「アナリストとデータを見てまず自分の考えをまとめて、その後にダルビッシュさんのところに確認しに行きました。ダルビッシュさんも自分のデータを持っていたので『このバッターはこうだね』とか、『その考え方で合っていると思う』と一緒に考えていただきました。でもその時は、ダルビッシュさんが当日リリーフで投げるなんて全く知らなかった。正直、決勝の試合中にブルペンにいるダルビッシュさんの姿を見て、あ、投げるんだ! って……ビックリしましたね」

 迎えた決勝戦。先発マウンドに立った今永は1回に2番のマイク・トラウトに二塁打を許すも後続を断ち無失点。2回は1死からトレイ・ターナーにレフトスタンドにソロアーチを運ばれた。結果は打者10人に対し4安打1失点。収穫と課題の両方を手にした貴重な経験となった。

「先頭のベッツ選手はインコースのカットボールを投げてライトフライだったんですけど、まず先頭打者にインコースの真っ直ぐでストライクを取って。そのあとしっかりカットボールを投げられたということは、良かったと思います。一方で、ターナー選手のホームランは、あのボールだけは絶対投げてはいけなかった。カットボールの、変化球の真ん中低めは本当に強いバッターで、それまでと同じ真っ直ぐなら高め、変化球ならもう1回ゾーンを外すべきでした。間違えたら本当にやられてしまうんだな、ということを実感しました。これが日本ならツーベースかもしれないけれど、メジャーリーガーにはホームランにされてしまう。この打線に対して、もし普通に先発していたら何点取られていたんだろう。そう考えるとゾッとするような対戦だった。全体を通しても、真っ直ぐは何球か通用するかもしれないけど、変化球で通用する球はあまりなかったのかな、と課題を感じました」

「やっぱり大谷選手なんです」

 その後、戸郷ら4投手がバトンを繋ぎ、最後はダルビッシュ、大谷が締め括ってアメリカを制した。先陣を切った今永は最高の舞台で「勝利投手」となる栄誉を手にした。大谷を中心にした歓喜の輪、晴れやかなセレモニー、シャンパンファイト……。夢のような時間を過ごした今永が戦いを終えて感じた「世界一のチームにあったもの」とは何なのだろうか。

「選手1人ひとりの能力が高いというのは大前提の話ですが、それ以上にたとえ劣勢でも、全く劣勢ではないような空気感を出せる、というのが一番感じたところなんです」

 準決勝のメキシコ戦。7回表まで0−3というビハインドの中、ベンチにいた今永は不思議な感覚に包まれていた。

【次ページ】 「やっぱり大谷選手なんです」

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