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プロ野球PRESSBACK NUMBER
5歳後輩・山本由伸が「今永さん、何やってんすか!」今永昇太30歳が明かす“由伸にイジられた日々”「ダルビッシュさんはお兄ちゃんのようでした」
posted2023/09/14 11:07
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Naoya Sanuki
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「大谷選手もダルビッシュ選手も…」
2023年3月22日。日本中が沸いたWBC決勝から間も無く半年が経とうとしている。14年ぶりに王座奪還した侍ジャパン。チームが世界一へと駆け上がった時間と、生まれた絆とはどんなものだったのか――。左のエースとして3試合に登板した横浜DeNAベイスターズの今永昇太投手が明かした。
「あのWBCを経験したことで、自分自身の“当たり前のレベル”が上がった。これは自分の中で一番大きな変化であり、大会を通じてすごく良かったことだと思っています」
“投げる哲学者”はそう口にして、大きく頷いた。今永の「当たり前のレベル」を刺激したものは何だったのか。
「大谷(翔平)選手だったりダルビッシュ(有)選手だったり、メジャーで長年活躍している選手であっても常に何かに興味を持って取り組んでいる。それは自分がもっと上手くなりたい、という目的ではない感じがしたんです。ただただ自分が好きなものに対して没頭しているだけ、という。だから努力を努力と思ってないんですよ。これから先、自分がどんな結果を出そうが、自分のことを凄いとは思わない。それは、本当に凄い人がたくさんいるという事を肌で感じたからです」
「ダルビッシュさんはお兄ちゃんのような…」
2月17日からスタートした宮崎強化合宿。投手陣で国内組最年長だった今永は当初、気負い込んでその輪の中に入ったという。
「若い選手がたくさんいたので、メンタル的な不安を少しでも取り除けたらいいですし、何かそういった話し相手になれたらいいな、と思いながら合宿に臨みました。でも蓋を開けてみたら、僕自身は本当に何もすることがなかった。ダルビッシュさんがそういう役目を全て担ってくれたんです」
メジャーリーガーとして異例の早期合流で合宿初日から参加したダルビッシュは、胸襟を開き若い投手たちに接した。ブルペンを見守り、データ片手に分析。全体練習後には時間を割いて技術的なことや怪我予防、食生活に至るまでアドバイスを送っていた。