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落合博満以来のホームラン王へ…ロッテ・ポランコ「ノーパワーだった」原点からの才能開花と“愛されキャラ”を支えるレジェンド左腕の金言
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2023/09/05 11:02
「パワー」全開のホームランを量産するロッテ・ポランコ
メジャーでは嬉しい再会もあった。ドミニカの野球チームではお互い野手としてプレーしていたペルドモと、2016年にパイレーツの本拠地ピッツバーグで対戦したのだ。
「メジャーの舞台で対戦出来て本当に嬉しかったよ。もちろん、ボクがホームランを打った。センターバックスクリーンにね」
ポランコが打つマネをしながら高笑いすると、ペルドモはちょっと悔しそうに、ただ“今回はオマエの自慢話に乗っかってあげよう”と言わんばかりの表情でニヤけた。16歳の時に知り合った2人がメジャーでの対戦を経て今、日本の千葉ロッテマリーンズで同僚となり、ロッカールームでは隣り合わせで日々を過ごしている。縁というものは本当に不思議だ。
父もお気に入りの「息子の応援歌」
大好きな両親はポランコがメジャーで活躍を始めたタイミングで警察官を辞め、息子のバックアップに注力するようになった。父は31年、母は29年、街の平和を守るために勤務した。それは息子であるポランコにとって誇りだ。昨年は新型コロナウィルス感染症対策の影響もあって叶わなかったが、今年はついに来日。ZOZOマリンスタジアムで息子の活躍する姿を目にした。印象的だったのはライトスタンドで繰り広げられる日本独特の応援スタイル。息子の応援歌が気に入った。だから父はスタンドの応援風景の動画をスマホに収め、ドミニカの親類や友達に送っていた。その行動がポランコにとっても嬉しかった。
「ボクも自分の応援歌がめちゃくちゃ好き。いつもエネルギーをもらっている。音楽が大好きだからノッていける。観戦した時はお父さんも歌っていたらしい」。嬉しそうにそう振り返った。
来日1年目は日本の野球独特の配球や、相手投手の足の上げ方にタイミングが合わずに苦戦したが、研究熱心な男は常に相手を分析する事をやめなかった。手応えを掴んだのは昨年6月25日のスワローズ戦(神宮)。9号ソロ、10号3ランと2本の本塁打を放ち二桁本塁打に到達した。相手投手が足を上げるタイミングに対応し、いつしかしっかりと右足を踏み込めるようになっていた。