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「カマダの悪口言うとかアホ」「すげえゴール」ラツィオ同僚とファン絶頂+イタリア紙1面…“日本人が知らない鎌田大地評”を在住記者は見た
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byNurPhoto/Getty Images
posted2023/09/04 17:00
昨季セリエA王者ナポリ相手に決勝ゴール。初得点とラツィオ今季初勝利によって鎌田大地が得た信頼は特大だ
「昨季も同じカードで勝ったは勝ったがボールポゼッションでいえば今イチだった。今季は、鎌田とならチーム全体のテクニックレベルを引き上げられるという予感がある。当然彼がまだ順応していく必要はあるがね。これから長くて15日くらい代表へ行ってしまうが、勤勉な選手だからコンディションを落とすことは心配していない。これからどんどん良くなっていくはずだ」
試合翌日、地元紙の1面はカマダだった
試合翌日の日曜、ラツィアーレたちは最高の朝を過ごした。
行きつけのバールへ赴き、鎌田の写真が1面を飾る地元スポーツ紙『コリエレ・デッロ・スポルト』を広げ、熱いカプチーノをすする。
新たな我らの英雄カマダの採点は「7」、寸評は「相手DFの足元をかすめて、サムライの刃が矢のように飛んだ。彼以上にこのゴールを欲していた者はいないだろう。鎌田の一撃に開幕2戦の鬱憤を晴らした男とチームの逆襲の物語が詰まっている。彼は緊張とボール、そしてゲームを制した」。サッカーの試合寸評とは思えないほど大仰な讃えようだが、永遠の都はこれが平常運転だ。
右手でコルネットと呼ばれる菓子パンをつまみながら、左手のスマホでクラブやファン御用達ラジオ番組のSNSを覗き、勝利の余韻を堪能する。
「KAMA-GOL!」
「あれこそカマダに望んでいたプレーだ」
「先週の試合後、批判したことを全力で謝りたい」
「鎌田のことを悪く言うやつはサッカーのことなど何もわかっちゃいないアホ」
「(獲得を狙っていたミラン元TD)マルディーニの見る目は正しかった」
「ダイチ、ダイエエエエエ(やったぜええええ)!」
犬猿の仲ローマが順位表の下にいるからご機嫌
何より犬猿の仲のローマが勝ち点1止まりで順位表の下にいるから、次のリーグ戦までご機嫌で過ごせる毎日をプレゼントしてくれた鎌田を愛していないラツィアーレはイタリア中探してもいないだろう。
開幕2連敗したとき、悲嘆にくれていた彼らの心の中の大空は今、秋晴れでクラブの愛鷲オリンピアが舞っているに違いない。
鎌田の初ゴールは、ラツィオに自信と勢いを与え、スクデットレース自体にも火を点けた。代表ウイーク明けにはCLも開幕する。現地の鎌田フィーバーはこれからが本番なのである。