甲子園の風BACK NUMBER
甲子園球児の“イケてる見た目”が激変していた「細眉、今は誰もやってないですね」「帽子のツバはまっすぐ」…それでも残る“根性論”ハチマキ
posted2023/08/16 20:06
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph by
Nanae Suzuki
「多様性を尊重しよう」「多様性のある社会を作ろう」といわれながら育った、現代の中高生たち。ファッションやライフスタイルにおいても個性を重んじる時代といえるが、甲子園球児たちの流行はどのように変化しているのだろうか。
昔は「ツバの曲げ方」が数少ないオシャレ
筆者は以前、甲子園を目指す高校球児と、吹奏楽コンクールの全国大会を目指す吹奏楽部女子の青春映画『青空エール』(主演:土屋太鳳、竹内涼真)の監修をしたことがあるのだが、クランクイン前、俳優たちの衣装やユニホームを準備するにあたり、スタッフから「甲子園球児の帽子をリサーチしてほしい」と頼まれたことがあった。「ツバは曲げる型が多いのか」といった帽子の流行を知りたいというリクエストだ。
そのために、アルプススタンドで応援している野球部員の帽子をひたすらチェックした7年前、型をつけた帽子とナチュラルな形の帽子の割合は、半々くらいだったように記憶している。
当時、どこかの記事で「帽子に洗濯バサミで型をつけるのが、球児たちの数少ないおしゃれ」「きれいに型をつけるHOW TO」という特集を読んだことがあり、「野球部には涙ぐましい努力があるのだなあ……」と思ったものだ。
ナチュラルな形が増加…「個人の好みですね」
ところが今夏、アルプススタンドで球児たちを見ていると、型のついていない、ナチュラルな形の帽子が増えたように思う。現在のトレンドはどうなっているのだろうか。直接聞いてみると次のような声が挙がった。
「自分はツバは曲げずにまっすぐかぶるのが好きです」
「帽子に型をつけるかどうかは本人の好みによりますね。先輩はつけていますが、僕は曲げません」
「素材によるので、型をつけたくてもつけられない帽子もあります」
さらに「型をつけた帽子とつけていない帽子、どっちがかっこいいか」と聞いても、「どっちがかっこいい、ダサいということはありません」と即答する部員が目立った。たとえば、甲子園常連の強豪野球部が帽子に型をつけていても、「それを真似するかどうかはその人の好み」だといい、「古いっすね」「ダサいっすね」といった声は一度も聞かなかった。とにかく「個人の好みですね」という答えが多いのだ。