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暴力消えない高校球界も…東北は“60歳の新監督”でなぜ成功？センバツ出場に導いた“元巨人選手の改革”「楽しかった野球を子ども達に返す」

posted2023/01/30 11:00

東北をセンバツ出場に導いた元巨人の佐藤洋監督

text by

氏原英明Hideaki Ujihara

PROFILE

photograph by

Genki Taguchi

　今春のセンバツ出場が決まるも部員への体罰が発覚し監督らの解任が決まった東海大菅生。過去にパワハラを受けた部員が学校を相手に訴訟を起こした延岡学園、部員への暴力問題で監督の解任が報じられた大阪産業大附……。いま改めて、高校野球の指導のあり方が問われている。なかでもありがちなのが、名門校などが指揮官の代替わりに失敗するケースだ。

　そんな中、強豪・東北高は昨夏に元巨人の佐藤洋氏を監督に招聘し、秋の宮城県大会を12年ぶりに優勝。つづく東北大会でも準優勝し、今春のセンバツ出場を決めた。指揮官の代替わりを成功させた東北はどんなチームに変貌したのか。“60歳の新監督”を訪ねた。（全2回の#1／#2へ）※取材は1月中旬に実施

　ついに、この男に声がかかったのか。

　巨人の内野手だった佐藤洋（ひろし）が母校・東北の監督に就任するというニュースを耳にした時、そんなことを思った。

新生・東北の新監督は「60歳」

　Numberの取材で、独自のスタンスで少年野球教室を主催していると本人から聞いたのは10数年前のこと。その佐藤が高校野球の、それもダルビッシュ有（パドレス）や佐々木主浩（元マリナーズ）、斎藤隆（元ドジャースなど）とメジャーリーガーを多く輩出している名門の指揮をとるという情報に、「時が来た」ことを感じずにはいられなかった。

「高校野球の監督になるなんて、正直、考えてみたこともなかったです。現役を引退してから、少年野球やプロ、メジャーリーグと幅広く、『他にここまで見ている人はいないんじゃないか』ってくらい見てきました。20年前からこのままでは野球は選択してもらえなくなるんじゃないかと訴え続けてきた。いろんな人との出会いがあってここにいて、すごいスピード感で（状況が）動いているのは感じています」