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朝倉未来は「格闘技に専念すべき」なのか? 衝撃タップアウト負けで“世界ランク”はフェザー級101位…時代の寵児が直面した“大きな壁” 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byRIZIN FF Susumu Nagao

posted2023/08/15 17:03

朝倉未来は「格闘技に専念すべき」なのか? 衝撃タップアウト負けで“世界ランク”はフェザー級101位…時代の寵児が直面した“大きな壁”<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

7月30日の『超RIZIN.2』でヴガール・ケラモフに一本負けを喫した朝倉未来。呆然とした表情でリングを去った

朝倉未来が直面したファイターとしての“壁”

 国内のフェザー級戦線で朝倉の実力がトップレベルであることは疑いないが、舞台が世界ともなれば立ち位置は大きく変わってくる。ケラモフに敗れたことで、世界中の選手を階級別に査定する格闘技サイト『FIGHT MATRIX』のフェザー級世界ランキングにおいて、朝倉の順位は101位まで下がった(2023年8月15日現在)。

 ちなみにケラモフは同級のランキングで51位、鈴木千裕はライト級の12位(!)につけている。UFCやBellatorをはじめ世界中のプロモーションを含めたランキングなので、厳密に実力を反映したものではなくひとつの目安と捉えるべきだろうが、一方で「これが世界における一般的な評価」というシビアな見方をすることもできる。

 プロデューサーとして朝倉がこの世に産み落としたBreakingDownは、賛否両論渦巻く中でひとり歩きし始めた。いまや現役のプロ格闘家が同イベントに出場することも珍しいことではなくなってしまった。「あれは格闘技ではない」と叫んでも、そうしたネガティブな声すら呑み込みながら巨大化を続けている。

 そんなBreakingDownの大成功とは裏腹に、ファイターとしての朝倉は大きな壁にぶち当たってしまった感がある。実をいうと、筆者は“もうひとつ別の壁”の存在も痛感している。そう思わせたのは、7月25日にスティーブン・フルトンを鮮やかなTKOで破り、WBC・WBO世界スーパーバンタム級王座を獲得した井上尚弥だ。いまや国内のみならず世界を震撼させる本物の“モンスター”になった井上からは、貪欲に強さを追い求めるプリミティブな探究心を感じた。

 ボクシングと格闘技の違いといえばそれまでかもしれないが、このふたつの競技の間には肉眼では見えない、かつあまりにも分厚い「ガラスの障壁」が立てられているような気がしてならない。相手を罵り、挑発し、果ては場外乱闘にまで行き着くパフォーマンスばかりが目立つ格闘イベントが幅を利かせるようでは、その壁は厚くなる一方だ。

 朝倉未来はどこに行くのか。

 全ては本人次第と考えるしかないが、勝負の世界の醍醐味はたったひとつの試合で評価をガラリと変えられるところにある。前述のRIZIN札幌大会でクレベル・コイケに完敗を喫した鈴木千裕(クレベルの体重オーバーのため、公式記録上はノーコンテスト)が、約1カ月後の『超RIZIN.2』に緊急参戦を果たし、Bellator王者パトリシオ・ピットブルをKOして株を高騰させたように。

 何かをきっかけに評価は一瞬で変わる。もちろん朝倉未来にも、そのチャンスはまだ残されている。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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