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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「大谷翔平のボディーガードも兼任」水原通訳はなぜ“唯一無二”の存在なのか…元相棒が明かす「僕と一緒にクビになった一平君」の素顔
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byGetty Images
posted2023/07/28 17:04
陰になり日向になり大谷を支える水原通訳
メジャー球団の通訳の雇用には何パターンかがあると岡島氏は語る。
球団が用意してくれる人材、そして大谷と水原氏のように、選手とともに渡米する人だ。岡島氏の場合「最初は日本で英語の話せる知人を通訳として雇って一緒に行ってもらった」というが、そうするのには理由がある。
「通訳」以外の重要な任務
「球団が用意してくれる通訳は、アメリカ在住の人が多いんです。もともとアメリカで生まれ育った通訳の中には、日本語を話せても文章を書くのが苦手な人もいます。そうすると通訳する際に微妙なニュアンスの違いが起きて、もめることもある。ヤンキースのキャンプで出会ったときの一平君の場合は、もともと日本人向けの仕事に慣れていたという背景がありました。上下関係……先輩に対してはこういう接し方、取引先に対してはこういう接し方と、言葉使いや態度に繊細な気遣いがありました。ご両親がしっかりしていたんじゃないですかね。フレンドリーですけど、きちんとした距離感を保てる人物で、そういう通訳さんは貴重なんです」
メジャーへ移籍した選手に付く通訳は、会話の通訳だけではなく、他の選手と積極的にコミュニケーションをとってその選手がチームに馴染めるようアシストしたり、選手と一緒に渡米した家族の私生活をもサポートしたりと、仕事は多岐に渡る。「ボディーガードも兼任してくれる。何かあったら自分が盾になるということを言ってくれる人もいます」と岡島氏は語る。
キャッチボールの相手を務めることは日常で、最近ではSNSの運用なども請け負う人もいる。近年の通訳の仕事は各方面に精通していて、万能でないと務まらないのだ。
「一平君はアメリカで育っていますが、日本の文化も熟知している。大谷選手より目立つことが絶対にないよう、前に出ないところがいいですよね。メジャーの通訳さんって割と『俺が俺が』と前に出てしまう人が多い印象なのですが、そういう人は長続きしません」