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岡田武史(66歳)はなぜFC今治高校を作ったのか? 批判も覚悟で「俺も踏ん切りをつけないと…」「別にサッカーをやる学校じゃない」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by学校法人今治明徳学園
posted2023/07/23 17:01
FC今治会長を務める岡田武史の肩書きに「FC今治高校学園長」があらたに加わった
「ウチの企業理念には『次世代のため』と入っていて、俺自身も生きる意味というのは命をつなぐためと思っている。そのために大切なのはやっぱり教育。世のなかや社会がこれだけ変わってきているなら教育だって変わんなきゃいけないだろうっていう思いはずっとあった。気候変動、分断などいろいろあってこれから人類が経験したことのない時代を生きていかなきゃいけないわけで、多分想定していないことが起こってくるんだろうと思う。これからの時代を生きていく人は心身ともにタフでないといけないし、適応力も備えなければならない。でも1人では生きていけないから、共助のコミュニティを創り、自然と共生した人類の未来を切り拓いていける人財に出てきてもらいたいんだ。世界の歴史を動かすキャプテンシップを持った人という意味で“ヒストリック・キャプテン”と名づけた。そういった人財を輩出していけたらと思っている」
FC今治高校に、ヒストリック・キャプテン。インパクトあるワードを用意したのは、新学校に目を向けてもらう意味合いもある。ただ、いくら教育事業もやってきたとはいえ「素人が教育に手を出すことに、批判も相当あるだろうなと覚悟していた」。蓋を開けてみると応援する声が圧倒的に多かったという。賛同する協力者も次々にあらわれた。
豪華講師陣による「キャプテンシップ要請講座」
来年4月の開校に向けて着々と準備を進めている。独自のカリキュラムも固まった。
文部科学省が定める高校卒業に必要な最低単位数は74。教科の必修授業は午前中を中心にして、かつ、一斉授業を減らしてそれぞれの進度に合わせ、学生が自分たちで選択できるようにしていく方針を既に明らかにしている。
「今の学校教育を全面否定するつもりはないし、受験のための知識も最低限は必要。ただそれ以上に大事だと思うことをやっていく」
午後は実学が主になる。少人数で地域に出て学ぶ「里山未来創造探究ゼミ」、農業体験や地場産業体験などの「ヒューマンディベロップメントプログラム」、著名人による特別講演・ワークショップの「ヒストリック・キャプテンシップ養成講座」などが用意されている。
この養成講座には藤沢久美(経済評論家)、古田敦也(野球解説者)、青野慶久(サイボウズ株式会社代表取締役社長)ら豪華な講師陣が名を連ねているが、さらに各界から集めていくようだ。一般的に実学、探究に充てるのは週に1時間くらいほどと言われている。しかしFC今治高校は週6時間(3時間×2コマ)を予定しており、他との差異化を図る。
地域貢献にとどまらず”地球貢献”?
実学で活用していくことになるのが、今年1月に完成した今治里山スタジアムである。