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岡田武史(66歳)はなぜFC今治高校を作ったのか? 批判も覚悟で「俺も踏ん切りをつけないと…」「別にサッカーをやる学校じゃない」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by学校法人今治明徳学園
posted2023/07/23 17:01
FC今治会長を務める岡田武史の肩書きに「FC今治高校学園長」があらたに加わった
「カフェがあったり、ドッグランがあったり、農業もできる。(スタジアム)周辺だけじゃなくて、FC今治の試合の日に、運営の仕事や広報の仕事をやってもらうことも考えている。どうやったらこの仕事の課題が改善できるかと自分なりに探しながらやっていってもらう。いずれ社会に出ていくときに役立つ学びがあると思うから」
市外、県外からも学生を呼び込んでいければ、ひいては地域活性化にもつながる。スタジアムを介した共助の社会づくりにも結びつく。今治里山スタジアムとFC今治高校は、結局リンクしてくるというわけである。
岡田の目指すところは、地域貢献にとどまらない。輪を全国に、そして世界に広げていく“地球貢献”である。
「アイツまたホラ言ってるぞと思われるかもしれないけど」
そう言って苦笑いを浮かべた岡田は鼻息を荒くする。
「僕らは正直、この地球を救おうくらいのことを思っている。日本にはスポーツのクラブが全国各地にあって、もし60あるJリーグと、56あるBリーグのクラブが(共助のコミュニティづくりを)一緒にやったら日本が変わり始めて、世界だって変わるかもしれない。
多忙を多望に
これを行政がやろうとしてもなかなか動けないだろうし、民間のほうが動きやすい。今治に何かを残したいとかじゃなく、この今治自体が本当の意味でWell-being(健康かつ幸せな状態)になれば、そのモデルにもなれる。そして全国に広がっていくっていうような発想を俺は持っている」
岡田は読書家で知られるが、最近は教育関連の本ばかり読みあさっている。今は、大阪市立大空小学校元校長の木村泰子著『「ふつうの子」なんて、どこにもいない』がちょうど読み終わるところだとか。
今治と首都圏を往復する日々は続く。今治で空いた時間ができれば「ぷらっと」来春からFC今治里山校になる今治明徳高矢田分校に顔を出すようにしている。未来ある学生たちの姿を眺めれば、自然と意欲が掻き立てられるそうだ。
「これからもっと忙しくなるよ。本当はもっとゆっくりしたいんだけどな(笑)」
口ではそう言うものの、66歳の目は輝いている。
サッカーも、環境も、教育も、多忙を多望に。
忙しすぎるくらいが岡田武史には合っている。
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