「人の見ていないところでも練習できる」

　そうですか……そんな評価をいただいているんですか。

　森本監督が、そのあとを続けてくれた。

「入学してきた頃から、『とにかくノックをたくさん受けろ！』って、そればっかり言ってきました。バッティングのほうは心配してなかったんでね。本人もそれをしっかり受け止めて、プロを本気で意識するようになってからは、守備練習でも自分から率先して、サードでノック受けてから、ファーストでノック受けて、最後はライトに走って行ってノック受けてね。自分の可能性を広げようとして一生懸命やってます。怜音は日常生活もきちんとしているし、人の見ていない所でも練習できる。人間に裏表がないのもすごく感心しているんです」

課題の守備練習も自分から率先してノックを受けるという。そういった人間性も魅力だ　チーム提供

　当の村田の言葉からも、スカウトや監督がそう評するのが伝わる。本人は自身の野球哲学をこんな風に語ってくれた。

「毎日の練習にも、自分、モットーみたいなのがあって」

  まず、積土成山。

「“チリも積もれば山となる”ってあるじゃないですか。あれを、もうちょっとカッコいい表現がないかなって、調べて」

  気になったら、ちょっと調べてみる。  

  長く仕事していると、これがものすごく大切だとわかる時がある。

「それと、これなんです」

  手元の紙に、村田怜音が1つの「式」を書いてくれた。

「量×質×方向性」

  出典は、どこかの大学（野球部）のアナライザーだったかな……という。

  出典なんか、二の次だ。

「これだ……！」と思った。

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