初めて出会う「超」大型逸材

　196cm、110kg。右投げ右打ち、三重県立相可高出身。

　森本監督自身、40年以上の野球経験の中で、初めて出会う「超」の付く大型逸材だという。

「このサイズで高校の時は1番を打っていて、ホームランも30本近く。しかも打つだけじゃないんです。そこそこ動けます。可能性は無限大だと思っていますよ。将来的には三塁手で鍛えていきます」

皇學館大学の主砲・村田怜音内野手　チーム提供

  監督の言葉からは、村田とこれからの4年間を共有できるときめきと喜びが伝わってくるようだった。

  そして、村田怜音が4年生になった、この春のことだ。

  関東遠征のオープン戦、國學院大との試合。最初の打席の最初のスイングで、サウスポーのチェンジアップにタイミングを外されながら、軸を崩さず振り抜いた打球が雄大な放物線となって、左翼ポール右、はるか上空を越えていったから驚いた。

　試合後、村田に話を聞くとあっけらかんとこんな風に語ってくれた。

「史上初とか、今までになかったことをやってみたいんです」

  夢が叶えば、皇學館大から“史上初の”プロ野球選手誕生である。

196cm、110kgの体躯でのフルスイングは大迫力　チーム提供

「こんなところにこんな選手が！」と、驚かせる存在に

「名門より、そんなにメジャーじゃない大学で活躍して、『こんなところにこんな選手が！』と、驚かせるような存在になりたかったんで。選択は間違いなかったと思っています。ただ……」

  メリハリの効いた話しぶりが、ちょっと途切れた。

「正直、最初はもうちょい打っているイメージがあったんです。まだ、3年の秋しか結果を出していないんで……」

  昨年秋のリーグ戦、村田は打率5割近く、9試合で4本塁打とその「実戦力」を体現してみせた。

「高校の時もそうだったんです。1、2年ではあまり結果が出せなくて、3年生の春から夏で22本打ったんですよ、ホームラン。『実戦で使えるまでに2年かかる』という言い方もありますけど、自分の場合は『2年経験を積めば、結果が出せる』と解釈しているんです」

  現実をありのままに受け入れ、状況を前向きに捉える。思考回路が「アスリート」だ。

  なかなか成績の上がらなかった高校2年の冬、決心して全体練習以外に1日500本バットを振ることを、自らに課した。

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