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「米ドラ1蹴ってソフトバンク入り」スチュワートの獲得は失敗…なのか? “激ヤセ”経て5年目、ついに覚醒しそう…コーチが語る「なぜ出遅れたか」

posted2023/07/12 11:39

 
「米ドラ1蹴ってソフトバンク入り」スチュワートの獲得は失敗…なのか? “激ヤセ”経て5年目、ついに覚醒しそう…コーチが語る「なぜ出遅れたか」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

2019年6月、ソフトバンク入団記者会見時のカーター・スチュワートJr.

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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JIJI PRESS

 来日5年目にしてようやく「超大物」の片鱗を見せ始めたか。全米ドラフト1位指名を蹴ってソフトバンク入りしたカーター・スチュワートJr.だ。

今年投げた「3試合の内容」

 6月18日、甲子園球場での阪神戦で2年ぶりに一軍マウンドを踏んだ。今季それまでにウエスタン・リーグで4試合に登板して防御率1.17と安定した数字を残したことで先発のチャンスを手繰り寄せたのだ。

「とても興奮しています。やっと来たかという感じですし、ちょっと緊張もありますけど、いい意味での興奮と混じり合っている」

 そのように意気込んだ一戦では、来日初勝利こそならなかったが5回1/3を108球6安打8三振2四球の無失点と好投した。

 初回から目を見張る投球だった。1番・近本光司を153キロ、154キロの直球で追い込むと132キロの低めカーブで3球三振。3番・前川右京には遊撃安打をされたもののその球が自己最速の160キロを計測した。最後は走者を残して降板したが、全体的にも極端なボール球が目立ったわけでもなく、球数を重ねても球威が落ちた様子は見られなかった。

 その後、6月28日の楽天戦(PayPayドーム)は6回94球を投げて1安打6三振4四球1失点(自責0)。

 少し登板間隔があいて臨んだ7月10日の西武戦(京セラドーム)は4回1/3で7安打2失点を喫し今季初黒星を喫した。それでも粘りの投球で大崩れしなかったという意味では評価できるピッチングだった。

「米ドラ1」は気づけば5年目…

 3試合0勝1敗、防御率1.15。今後に十分期待を持たせる数字といえるだろう。

 ……いや、ちょっと待てよ。

 今後に期待、その言葉にどこか虚しさを覚えるのは筆者だけではないだろう。

 もう来日5年目。契約が終わる来年秋にはFAになる。彼がソフトバンクに来た当初は、今頃はローテの柱でも不思議でないと多くの人が期待したはずだ。

【次ページ】 苦悩の日々…「痩せこけていた」

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