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「米ドラ1蹴ってソフトバンク入り」スチュワートの獲得は失敗…なのか? “激ヤセ”経て5年目、ついに覚醒しそう…コーチが語る「なぜ出遅れたか」 

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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photograph byJIJI PRESS

posted2023/07/12 11:39

「米ドラ1蹴ってソフトバンク入り」スチュワートの獲得は失敗…なのか? “激ヤセ”経て5年目、ついに覚醒しそう…コーチが語る「なぜ出遅れたか」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

2019年6月、ソフトバンク入団記者会見時のカーター・スチュワートJr.

明らかな「精神的成長」

 もちろん、時間はかかったものの這い上がってきたのはスチュワートJr.自身の変化によるものも大きい。最近はピンチをしのいだ場面などではマウンドで声を出して喜びを表すようになった。以前は見られなかった姿だ。

「自分自身がしっかりゲームに入っていけている証拠だと思います」

 スチュワートJr.はそのように語る。来日当初は「すごい球」をただ投げることだけに固執していた。試合後には「160キロ出ていたか?」とコーチに訊ねていたそうだ。

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「僕の中ではニック・マルティネス(現サンディエゴ・パドレス、21年にソフトバンクでプレー)の存在が大きい。喜びの感情を常に表に出して、そうやってチームを引っ張って流れを呼び込んでいた。その姿を見てすごいなと感じていました」

 昨年のシーズン終了後には球団からの派遣でプエルトリコでのウインターリーグに参加した。それ以前にも球団から打診があったが「俺は行く必要はない」と断っていた。

 そのように精神的な成長を感じさせるエピソードもいくつか聞こえてくる。たしかに少し前の彼は未熟だったのかもしれない。しかし、投手コーチの齋藤学は「プライドもあったでしょう。邪魔する部分もあったかもしれないけど、プロとして大事な部分でもある。逆に何もない選手を叩き上げる方が大変だから」と笑っていた。

中村剛也に盗塁を許すも…首脳陣は責めず

 来日5年目。大きな蕾の中にある花びらの色がやっと確認できるところまできた。

 まだまだ課題はある。クイックモーションは依然として苦手なようで、先の阪神戦では大山悠輔に2年ぶりの盗塁を決められ、西武戦では中村剛也にも二盗(一、二塁からの重盗ではあったが)を許した。

 ただ、藤本博史監督は「クイックを計ったら1.18秒だった」と課題は認めつつも責める発言はしなかった。コーチ陣も同様だ。

 あくまで長所を見てあげる。現在のホークスの指導指針の中にはその考えが強くある。後半戦も先発ローテの一角として期待のかかるスチュワートJr.にはそれも追い風となるはずだ。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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