「論ずるに値しないね」原辰徳に一刀両断された内海哲也は何を思ったのか？ 厳しい言葉を浴び続けた“普通の投手”が巨人のエースになるまで

「論ずるに値しないね」「論じてくれよ…」

　2010年オフからの取り組みがうまくいき、左肩の痛みもなくなって翌シーズンの開幕を迎えました。

　過去2回任されてきた開幕投手ですが、2011年は後輩の東野峻が務めることになりました。原辰徳監督はオープン戦から先発陣に“横一線”で勝負させて、誰が見ても僕より東野のほうが結果を残しました。正直、「これは完敗だな」と感じたくらいです。

　開幕投手はもちろん毎年目指しますが、2011年は心底本気で戦って敗れたので、「シーズンが終わったときに成績を残せていればいい」とすぐに切り替えました。

　僕にとってのシーズン初登板は4月13日、開幕2戦目のヤクルト戦。8回途中まで無失点で2011年初勝利を挙げることができました。

　次の登板は1週間後の4月20日に行われた阪神戦。先発ではなく、カルロス・トーレスの後を受けて7回から2番手でマウンドに上がりました。その後は再び先発ローテーションで回りましたが、もしかして原監督から信頼してもらえていないのかなと感じるような起用法でした。

　そういう心境になったのは、前年にかけられた言葉が脳裏に刻まれていたこともあります。

　論ずるに値しないね――。

　2010年9月9日、優勝争い真っ只中の横浜戦に先発して4回途中6失点と不甲斐ないピッチングをした際、原監督はメディアの前で僕を一刀両断しました。確かにそう言われても仕方ない内容でした。

2010年の原辰徳監督。内海哲也には厳しい言葉をかけることが多かった　©Naoya Sanuki

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　それでも、胸にグサリと刺さる言葉でした。

　論じてくれよ……。

　それが当時の率直な心境です。

　原監督には「優勝する気があるのか？」と言われたこともありましたが、もちろん中途半端な気持ちでプレーしていたわけではありません。思うような結果が出ないときでも、常に全力で取り組んでいました。

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