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「いやいや、ちょっと待てよ」「頭が真っ白に」巨人・内海哲也が味わった“人的補償で西武移籍”の衝撃…気落ちする左腕を救った“ある言葉”とは
posted2023/07/12 17:03
text by
内海哲也Tetsuya Utsumi
photograph by
JIJI PRESS
もう、一軍で投げるのは無理かもしれない……
結局、2015年はわずか5試合の登板で2勝1敗、防御率5.01という不甲斐ない成績に終わりました。
2016年も同じような状態を引きずり、オープン戦では3試合で防御率10.32という成績で二軍スタートとなりました。
プロ野球の世界で「二軍に慣れたらいけない」とよく言われるのは、やっぱり“ぬるい”部分があるからです。張り詰めた空気の一軍の戦いから遠ざかると、それに甘える自分がどこかで出てきます。
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〈もう、一軍で投げるのは無理かもしれない……〉
二軍ですごす日々が長くなると、弱気な自分がどうしても出てきました。
このシーズンは開幕からファームで投げて、4月15日の楽天戦では4回途中4失点、続く22日の西武戦では7回4失点。二軍でも打たれる試合が続きました。
〈一軍に全然呼ばれないな。もう終わりだな……〉
そんな心境だったから、二軍投手コーチの田畑一也さんと衝突することもありました。
当時、ファームに身を置いていた一軍候補の先発投手は5回を投げ終えたら「もういいよ。あとは自分で調整してくれ」とお役御免になっていたのですが、僕に対してだけ「6回も行くよ」ということがありました。
「なんでですか? 僕にも調整させてくださいよ」
「いや、斎藤(雅樹)監督が『もう1回行く』って言っているから」
僕としては5回を無失点に抑えて、気持ち的にはやり切った感覚でした。よし、もしかしたら一軍に呼ばれるかもしれないぞ、と。
今になって振り返れば単なるわがままですが、「6回も行くぞ」と言われて続投し、気持ちの整理がつかずに3点くらい取られました。ベンチに帰ってきて「交代」と言われ、不貞腐れて田畑さんの話を聞かずにいる。みんなの前で尊大な態度を取っていたから、ロッカールームに帰った後、ものすごく怒られました。僕はそれすらも無視して聞かずにいました……。