酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「大谷翔平=MVP級! 千賀滉大、吉田正尚、菊池雄星も立派」「藤浪晋太郎は最悪扱いから一転…」“よくがんばりました”な日本人メジャー前半戦通信簿
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byDaniel Shirey/Getty Images
posted2023/07/11 17:13
オールスター前日、笑顔の千賀滉大と大谷翔平。日本人メジャーリーガー大活躍のシーズンとなっている
藤浪は6月以降の成績が向上、マエケンも復活気配
《アスレチックス 藤浪晋太郎》
投手成績
2023年:31試5勝7敗2H 45回47振 率9.00
もはや楽しみでしかないという感じだ。
「大谷の同級生、元ライバル」という触れ込みで入団した藤浪は、先発で4連敗。防御率は14.40と惨憺たる成績。史上最悪の契約とまで言われたが、じわじわ立ち直った。
〈月間成績の推移〉
3、4月 6試0勝4敗18回16振 率13.00
5月 11試2勝1敗1H 12回15振 率10.50
6月 10試1勝2敗1H 11.1回10振 率3.97
7月 4試2勝0敗3.2回6振 率0.00
しり上がりに調子を上げて、6月28日以降6試合連続で無失点。最近は、捕手の構えるミットに100マイル超の剛速球を投げ込むというシンプルな投法が功を奏している。打者を圧倒するマウンドは魅力的だ。
チームは30球団で最低勝率。いわゆる「解体モード」だ。藤浪はそれもあって起用され続け、チーム最多の5勝。といってもこの状況が続くわけではなく、8月1日のトレード期限までに何らかの動きがあると思われるが、そこまで好投を続ければ、新たな道も開けよう。一度死んでからの再生だ。期待したい。
《ツインズ 前田健太》
投手成績
2023年:7試2勝5敗33回35振 率5.18
2021年は開幕投手を務めたが9月にトミー・ジョン手術を受けた。2022年は全休。今年4月4日にメジャーに復活した。
以後7試合に先発して2勝、防御率は5.18と良くないが、これは4月26日のヤンキース戦で3回自責点10と大炎上したのが響いている。それを除けば防御率は2.70だ。
チームは前田を80球を目安に降板させている。少しでもチームに貢献するためには、後半戦、できるだけ長いイニングを投げる必要がある。
前田健太の年俸は312万5000ドル、大谷翔平の10分の1以下と極めて安価だ。来季以降、正当な年俸を獲得するためにも今季「投げられる」ところをアピールしていく必要がある。
やや成績を落としたダル、お化けフォーク通用の千賀
【ナショナル・リーグ】
《パドレス ダルビッシュ有》
投手成績
2023年:15試5勝6敗85回89振 率4.87
2022年:17試8勝4敗108.1回100振 率3.41(15)
今年もローテを維持しているが、投球内容は昨年より落ちている。規定投球回数未達で、防御率もリーグ平均(4.34)を下回っている。
今季の15登板で、無失点で降板したのは1試合だけ。あとの14試合は1点以上失点している。WBCでもダルビッシュは3試合すべてで失点している。
昨年の被打率は2022年(通季).207だったが、2023年は.252と悪化している。対右打者は.233から.237とほとんど変わらないが、対左打者が.185から.262と極端に悪化しているのは気がかりだ。
〈昨年後半戦の投手成績〉
2022年:13試8勝4敗86.1回97振 率2.71(6)
昨年後半、ダルビッシュは13試合で8勝を挙げる大活躍だった。今季の後半戦も期待したい。あと7勝で日米通算200勝。36歳ダルビッシュには「経年劣化」の見立てを跳ね返し、夏を越えてここから円熟味を増してほしい。