酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「大谷翔平=MVP級! 千賀滉大、吉田正尚、菊池雄星も立派」「藤浪晋太郎は最悪扱いから一転…」“よくがんばりました”な日本人メジャー前半戦通信簿
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byDaniel Shirey/Getty Images
posted2023/07/11 17:13
オールスター前日、笑顔の千賀滉大と大谷翔平。日本人メジャーリーガー大活躍のシーズンとなっている
吉田正尚:少ない三振+イチローの1年目を超えるOPS
《レッドソックス 吉田正尚》
打撃成績
2023年:78試301打95安10本44点6盗 率.316(3) OPS.874
予想を上回る活躍と言ってよいだろう。大谷とともにWBC参加組ながら打率はリーグ3位、OPSもリーグ5位。安打数はリーグ9位、アベレージヒッターとして期待に十分に応えている。
吉田正尚といえばNPB時代から「めったに三振しない」打者として知られたが、今季の36三振は、規定打席以上の73選手の中で72番目。下にはオリオールズのアダム・フレイジャー(35三振)がいるだけだ。吉田の持ち味である「好球必打」が存分に発揮できていると言えよう。
ただ吉田は前半戦で4試合連続無安打を2回記録し、連戦が続くと成績が低下している。すでに13試合を欠場しているが、後半戦も適度に休みながら戦っていくことになるだろう。
22年前、オリックスの大先輩でもあるイチローは、こんな前半戦成績を残している。
2001年:85試386打133安5本41点28盗 率.345(3) OPS.849
当時は圧倒的な打高の時代。この時点でア・リーグの3割打者は19人もいた。またイチローは1番打者、吉田は3番以降を打つことが多く、安打数もイチローの方が圧倒的に多いが、それでも打率は同じ3位で打点、OPSは吉田がイチローを上回っている。立派な成績だと言えるだろう。後半戦も、アベレージを残してほしい。
菊池雄星:苦しんできた4年間を経てついに
《ブルージェイズ 菊池雄星》
投手成績
2023年:18試7勝3敗93.1回96振 率4.24(23)
2022年:16試3勝5敗65回74振 率5.12
2019年3月21日、東京ドームでのイチローの引退試合でマリナーズからメジャーデビューした菊池だが、防御率は2019年が5.46、2020年5.17、2021年4.41、2022年5.19。規定投球回数には一度も到達せず、勝ち星は最多で7勝どまりだった。それでも辛うじてメジャー契約をつないできたが、今季はオールスター前で早くも7勝。防御率4.21は、リーグ防御率4.23とほぼ同じレベル。先発として責任を果たしていると言えよう。
成績アップの最大の要因は「制球力向上」だろう。制球力と安定感の指標であるK/BB(奪三振数÷与四球数)は、昨年の2.14から3.56と大幅に向上した。
投打ともに大戦力が揃うブルージェイズでは、クリス・バシットとホセ・べリオスが8勝、ケビン・ガウスマンが菊池と並ぶ7勝だが、左腕は菊池だけ。今後もローテを維持して初の2けた勝利を狙いたいところだ。