酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「大谷翔平=MVP級! 千賀滉大、吉田正尚、菊池雄星も立派」「藤浪晋太郎は最悪扱いから一転…」“よくがんばりました”な日本人メジャー前半戦通信簿
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byDaniel Shirey/Getty Images
posted2023/07/11 17:13
オールスター前日、笑顔の千賀滉大と大谷翔平。日本人メジャーリーガー大活躍のシーズンとなっている
《メッツ 千賀滉大》
投手成績
2023年:16試7勝5敗89.2回113振 率3.31
規定投球回数にわずか0.1回足りないが、防御率はリーグ11位に相当する好成績。
メッツにはマックス・シャーザー(8勝3敗 率4.31)、ジャスティン・バーランダー(3勝4敗 率3.60)というMLB最高年俸(ともに4333万ドル余、約61億円)の大投手がいるが、千賀は防御率でもイニング数でも2人を上回っている。
奪三振率(K9)は11.3、これはリーグ3位相当。昨年ソフトバンクでの9.8を上回っている。伝家の宝刀の「お化けフォーク」は有効だ。
MLBの先発投手は中4~5日の登板間隔で投げている。平均すれば4.5日程度だ。しかし千賀はここまで5.3日だった。NPBでの登板間隔が中6日だったことに配慮したのだろうが、ローテの中心として今後は過酷なマウンドも増えるだろう。オールスター出場も決まったが、無事に1年目のシーズンを駆け抜けてほしい。
肉体改造した鈴木誠也は6月の不調が痛かった
《カブス 鈴木誠也》
打撃成績
2023年:71試259打67安7本28点1盗 率.259(41) OPS.747
2022年:54試184打50安6本26点5盗 率.272 OPS.806
1年目の昨年は外野のポジションを確保したとは言えなかったが、今季は規定打席に到達。しかしOPSは.800に届かず、
今季、鈴木誠也は筋トレによって昨年よりも一回り大きな体格となった。しかし練習中にわき腹の肉離れを起こしてWBCを欠場した。
〈今季の月間成績〉
3、4月 15試59打15安1本6点0盗 率.254 OPS.706
5月 27試91打29安5本13点1盗 率.319 OPS.977
6月 20試79打14安0本7点0盗 率.177 OPS.475
7月 9試30打9安1本2点0盗 率.300 OPS.838
5月末時点で打率.293と調子を上げてきたが、6月に失速。7月は盛り返してはいるものの、肉体改造した効果は顕著に表れてはいない。外野守備ではいい所を見せているだけに、後半戦は中軸に定着してOPS.850を目指してほしい。
ヌートバー、マイナーで気になる筒香は?
《カージナルス ラーズ・ヌートバー》
打撃成績
2023年:60試220打57安5本25点5盗 率.259 OPS.740
2022年:41試90打18安4本14点1盗 率.200 OPS.655
2021年にデビューしたヌートバーは、昨年前半は外野に定着できなかった。今季はWBCで活躍した後に向かえたMLB開幕戦、2番左翼で先発した試合で負傷。4月15日に復帰したが6月にまた負傷者リスト入り。現在は復帰したものの、飛躍の年のはずが足踏みしている。カージナルスもポール・ゴールドシュミット、ノーラン・アレナドなどスター選手をそろえているが地区最下位。チームもヌートバーも後半巻き返しを期す。
〈昨年後半の打撃成績〉
2022年:67試200打48安10本26点3盗 率.240 OPS.846
昨年後半、12二塁打3三塁打10本塁打と長打を連発。WBC日本代表の栗山英樹監督(当時)の目に留まった。ヌートバーは「記録」より「記憶」に残る選手だ。派手な活躍をしてレギュラーをつかんでほしい。
最後にマイナーリーガーをひとり。
《レンジャーズ傘下 筒香嘉智》
打撃成績 AAAラウンドロック
2023年:51試169打42安6本33点2盗 率.249 OPS.812
この成績はMLBでも物足りないところ。マイナー契約からメジャー復帰を目指したがかなわず。自ら契約解除を申し入れてFAになった。ここから新たな活躍の場を模索する。MLBのトレード期限は8月1日、NPBは7月31日。残された時間は少ないが、自分の野球をひたむきに追求する筒香の未来が拓けることを願う。
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