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巨人へ電撃トレード「発表前日は山口宅で“たこ焼き”を…」佐々木朗希ら4人の証言で辿る“25歳長身右腕”がロッテで愛された証
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2023/07/07 17:06
巨人へのトレードが決まった小沼健太(右)。よく食事を共にしていたという佐々木朗希は先輩にエールを送った
山口にも忘れられない思い出がある。まだ寮生だったプロ3年目の12月。共同の洗濯機にバスタオルなどの洗濯物を詰め込んだまま、実家のある大阪に帰省してしまった。「実家に帰ってから思い出して、“しまった”と思った」と山口は当時を恥ずかしそうに振り返る。
しかし、だ。年明けに寮に戻ってみると、先に寮に戻っていた小沼が洗濯機を回し、洗濯物を取り出し、キレイに干してくれていた。後輩がうっかり忘れた洗濯物を、である。あまりの優しさに驚き、平身低頭、謝ると「いいよ。いいよ」と照れ臭そうに笑っていたという。
「それぐらいからよく一緒にいさせてもらうようになりました。オフもキャンプの時とかも山本大斗(外野手)とずっと3人でいました」(山口)
ちなみにトレードが決まった前日も共に過ごしていた。山口の自宅でたこ焼きを頬張り、夜遅くまで時間を過ごした。その翌日、小沼はトレードを告げられた。山口は「めちゃくちゃ寂しい。休日もずっと一緒にいたので。でも、本当に頑張って欲しいです」と別れを惜しみ、先輩の新天地での活躍にエールを送る。
小沼を見守ってきたジョニー
黒木知宏投手コーチは就任後、身近で小沼を見てきた。黒木コーチは現役を引退した今でも身体を鍛えているのだが、遠征先などで試合後に宿舎近隣のジムに足を運ぶといつも小沼の姿があった。
「試合が終わってジムで顔を合わせる選手はそんなに多くはない。でも小沼はよく見かけた」(黒木投手コーチ)
デーゲームでも、ナイターでも試合後にウェートトレーニングをしている姿はすごく印象に残った。「細かい身体の動きのために細かく鍛えていた。黙々と取り組んでいた。その姿は目に焼き付いている」と目を細める。そして、「必ず、どこかでそういう努力は報われる。野球の神様は見ている。やりつづけることでご褒美はある」と続けた。