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巨人へ電撃トレード「発表前日は山口宅で“たこ焼き”を…」佐々木朗希ら4人の証言で辿る“25歳長身右腕”がロッテで愛された証
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2023/07/07 17:06
巨人へのトレードが決まった小沼健太(右)。よく食事を共にしていたという佐々木朗希は先輩にエールを送った
トレードがリリースされ、電話をすると「155キロを投げ切れる投手になれるように頑張ってきます」と、本人から威勢のいい言葉を聞けたという。MAX152キロのストレートを投げ切ることができる右腕だが、黒木投手コーチは常に「155キロ以上、常時、投げることができる投手」と言い続け励ましてきた。
「もっと、圧倒的な投球ができる可能性を秘めた投手。手足も長いし、190センチ近い長身(公称189センチ)。筋力アップをすれば、もっともっと高みを目指せる数少ない投手」
だからトレードの翌日、ジャイアンツでの入団会見を終えてZOZOマリンスタジアムに挨拶に訪れた際、「155キロを投げる投手として日本シリーズの舞台で再会できることを願っているよ」とエールを送って送り出した。
「この世界は広いようで狭い。野球の縁はつながっている。すぐにこのグラウンドで会える日が来る」
去っていく後ろ姿をずっと見続けていた黒木投手コーチはそうつぶやいた。
「初勝利したら財布を買ってあげる」
小沼のボールを受ける機会が多かったのが、佐藤都志也捕手だ。小沼がイースタンリーグでセーブ王に輝いた2021年、二軍で小沼が初セーブを挙げた試合でマスクを被った。
もともと共通の知人がいたこともあって、小沼がマリーンズ入りする前から顔見知りだった。昨シーズンの前には「初勝利をしたら好きな財布を買ってあげるよ」と約束。すると、22年5月26日のカープとの交流戦で中継ぎ登板をした小沼に勝ち投手の権利が転がり込んできた。もちろんマスクを被っていたのは佐藤。「勝ったら財布を買わなきゃと思いながらリードしていましたよ」と笑った。財布は遠征先の大阪で一緒に買いにいった。
「ストレートとフォークがあって、コントロールがいい投手。キャッチャーとして組みやすい投手だった」