プロで活躍…“悪友”も泣いた

　三人が三人とも照れ屋な性格もあってか、相手を気遣うようなセリフが出てくることはありませんが、もっと深い部分ではしっかりとつながっていました。残念ながら、仕事の関係で二人とも郷里に帰っているため、なかなか会って話をする機会はないのですが、そのことを痛感したのは、プロ入り三年目のことでした。

1983年12月、ヤクルトの新入団発表。武上四郎監督（中央）と手を合わせる栗山英樹（右から4人目）。同期に橋上秀樹（左から4人目）、池山隆寛（同5人目）などがいる ©JIJI PRESS

　その年、僕は一軍でソコソコに働いたこともあって、シーズンオフに高松で開かれた東西対抗戦のメンバーに選ばれました。その試合に、今は高松で小学校の先生をしている吉川が、駆けつけてくれたのです。その夜は久々に会って酒をくみ交しながら、昔話や近況の報告に花を咲かせました。僕には門限があるので、そうそうゆっくりしてはいられません。「そろそろ帰ろうか」と、立ち上がった時です。その友人が、目を赤くしながらこういってくれたのです。

「栗山、よかったな。こんな大試合でお前を見ることができて、ホントに俺は嬉しい」と――。

　僕は思わず、胸が熱くなりました。自分のためにこいつは泣いてくれている。そう思うと、嬉しさとともに、この悪友に対する感謝の思いがこみあげてきて、胸がいっぱいになったのです。これまでの苦労が何だか報われたような気持ちにもなりました。

　この二人の悪友、いや親友は、僕にとっては心の財産ともいうべき存在。もちろん、これからも長くつきあっていきたい、と思っています。

「初めて話すのですが…」恋愛エピソード

　友人だけではありません。これは初めて話すのですが、実は大学時代、僕も人並みに恋愛も経験しています。

　それまでの僕はといえば、小学校時代に同じクラスの女の子二人を同時に好きになってしまい、それぞれにラブレターを手渡したおかしな初恋体験はあるものの、中学校に入学してからはスポーツ一筋。もちろん好きな女の子がいたこともありましたが、交際と呼べるようなものはありません。

　それだけに、彼女へのアプローチの方法も、とてもスマートなものとはいえませんでした。女優のかとうかずこさんに似たところのあるキュートな女性で、クラスは別でしたが、同じ学年。学内でもかなり目立った存在で、僕たちのクラスでも男子学生の間ではミス学芸大と評判の女子学生でした。

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