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元ロッテ選手が築地市場でマグロを並べて…本人が明かす“激動の引退後”「パパはなんでいつも家にいるの?」「ハローワークで仕事を…」
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byNumber Web
posted2023/06/17 11:00
異色のロン毛姿で知られた「元プロ野球選手」水上善雄さん。激動の引退後を語ってもらった
「失業保険を2、3カ月もらいました。ハローワークに行って仕事を探すと、コインパーキングの事業をしている不動産会社があった。朝から夕方までいろんな場所に1人で行って、機械から集金しました。小さな会社だったので、すぐ主任になり、そのあと係長に上がった。すると、地主さんと交渉もしなければならなくなった。これは無理だなと思いました」
その頃、偶然にも日本プロ野球選手会事務局に勤めていた松原徹と東京駅で再会する。ロッテでは選手とマネージャーという関係で苦楽を共にした間柄だった。
「彼が年に数回、野球教室のオファーをくれたんです。村田兆治さんからも誘ってもらいました。徐々に野球の仕事が増えていき、不動産会社は4年で辞めた。その後、自分のベースボールスクールも立ち上げました」
球界復帰を果たすまで…日本ハムへ
2002年からはテレビ東京で解説を始めた。キッカケはひょんなことだった。築地で働いている頃、水上は子供の少年野球チームを指導していた。早くグラウンドに着いたある日、近くの練習場でサッカーをしていた2人の子供に声を掛けた。
「そのうちの1人に『家に帰ったら、お父さんに〈元ロッテの水上さんが野球を教えてくれるっていうから野球をする〉って言ってみて』と冗談半分で話しました。そしたら本当に伝えてくれて、そのお父さんがテレビ東京の人だったんです。懇意になって、家族ぐるみでお付き合いするようになりました。その方を通して、49歳の2007年に日本ハムから二軍内野守備コーチの要請が来ました。私は、すごく運がいいんですよ」
日本ハム二軍監督に就任した2年目の2008年。かつて球界で異色のロン毛を貫いた男に、熱を呼び覚ます「事件」が起きる。大型新人、中田翔の入団である――。
〈つづく〉