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「髪切ったら打てるようになるんですか?」ロッテあの伝説的ロン毛選手が明かす“髪が理由でトレード”の真相「尖っていた。でも後悔してない」
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byJIJI PRESS
posted2023/06/16 11:02
かつてロッテでプレーした「異色のロン毛選手」水上善雄
三冠王が4番に君臨していたロッテは12球団一の破壊力を持っていた。84年からチーム打率は3年連続1位。しかも、2割7分5厘、2割8分7厘、2割8分0厘8毛という驚異的な数字を誇っていた。高畠導宏打撃コーチの指導を受けた西村徳文、高沢秀昭が開花。横田真之は長嶋茂雄以来となる新人の85年から2年連続3割をマークしていた。
しかし、87年は落合が消えた影響で、ほとんどのレギュラーが数字を落とした。その中で、天邪鬼の水上は真骨頂を発揮した。
「開幕前日に愛甲(猛)と一緒に剃り込みリーゼントスタイルに変えて気合いを入れました。でも、マスコミはほとんど注目してくれませんでしたね(笑)。前の年、ケガもあって欠場が多くなっていました。(就任1年目の)有藤道世監督が『必ず復活させてやる』と言って、猛特訓をしてくれました。キャンプでは毎日のように、至近距離でノックを受けました。野球人生の中で一番練習しましたね」
水上は見事に復活を遂げ、初のベストナインに輝いた。だが、翌88年には右肩の故障もあって、シーズン途中にサードにコンバートされる。近鉄がロッテとのダブルヘッダーに連勝すれば優勝の決まる『10.19』の第2試合では、9回表に新井宏昌の三塁線への鋭い当たりを防いだ。実況の安部憲幸アナウンサーが「This is プロ野球!」と叫んだファインプレーは今も語り継がれている。ただ、この年の水上は気持ちが萎えていた。
「なんか野球が面白くないと感じ始めていた。原因は自分でもよくわからないんですが、今考えればショートからサードに回ったのも関係していたかもしれません。自分の成績も落ち始めていたし、チーム事情もある。サードになっても使われていましたし、もっと頑張れば良かったと悔いが残っています」
伸び続ける髪の毛…「バッティングも好調で」
元号が昭和から平成に変わった89年、水上は思わぬ騒動を巻き起こす。前年12月以来散髪していなかった男はオープン戦好調のため、3カ月経っても髪を伸ばし続けていた。