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「エンドウはクラブにおける《生命保険》だ」名将ブッフバルトも絶賛、遠藤航が主将として導いた“最下位からの残留決定”「入れ替え戦は罰ゲームではない」
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byJIJI PRESS
posted2023/06/13 17:01
ブンデスリーガ、シュツットガルトの主将としてチームを残留決定に導いた遠藤航。今季終盤でのプレー、言動からも高く評価される理由が見えてくる
相手陣内でパスを受けるとスムーズなボールコントロールから前方のスペースに走りこむギラシに寸分の狂いもない精緻なパスを送り、そこからエンゾ・ミロが同点ゴールを決めたのだ。スタジアムの空気は瞬時に乾き、冷えた。敵地にまで駆け付けたお祭り騒ぎのシュツットガルトが陣取るファンブロックを除いて。この得点が意味することを両チームのファンともわかっている。最終的に2戦目も3-1で勝利したシュツットガルトが無事1部残留を果たすこととなった。
若い選手たちの成長はすごく個人的に嬉しい
試合後のロッカーでは安堵と喜びとで選手もスタッフも上機嫌。ミックスゾーンで取材陣の対応をしてくれた遠藤の顔も晴れ晴れとしていた。
「自分はそんなにね、何か大きなことをやってたわけではないんですけど、やっぱり自分はピッチ上でもそうだし、日常でもそうだし、普段の練習でもそうだし、キャプテンとして姿勢だったり、諦めないでやるところを見せるっていうのは、プレーで証明しなきゃっていうところはずっとやってきた。
ほかの選手たちも全然諦めずに、踏ん張りどころでも常にポジティブな雰囲気を選手同士で話し合いながら、最後の数試合戦えていたと思う。そこがやっぱ大きかったかなと個人的には思います。
言葉で伝えてるわけではないけど、自分がキャプテンとしてやってきたことが少しずつ、周りの選手たちにも伝わっていってるのかなっていう感覚は個人的には(あります)。若い選手たちの成長はすごく個人的に嬉しいですね」
遠藤がいなければこのチームはどうなっていたことだろう。シュツットガルトにも遠藤より足の速い選手はいる。遠藤より足元の技術に長けた選手もいるし、ヘディングに強い選手もいる。シュートがうまい選手も、スルーパスが巧みな選手もいるだろう。だが、遠藤以上にチームにとって重要な選手はいない。まさにクラブの命を助けてくれる存在なのだ。
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