確固たる地位を築いている宮﨑であるが、前述したように個人よりもチームを優先して物事を考えている。以前「3割打ちたいって気持ちはあるけど、それが全部ではない」と語っていたことがあったのだが、これもまた宮﨑らしい言葉だ。

「自分の数字がチームの成績に直結すればいいですけど、それ以外の部分でも貢献できることはたくさんあります。だから僕は、個人的な目標っていうのをあまり立てていないんですよ」

ベイスターズの野球を最後まで貫き通したい

　その意味からすると、今季特筆すべきは得点圏打率の高さだろう。現在.424というハイアベレージを記録している。打点はリーグ3位の32。ここ数年、宮﨑は「チャンスを生かすことができなくて……」と、シーズン終わりに悔しい表情を見せていたが、今季は確実にチームの勝利に貢献している。いわゆる試合の勝利を決める“決勝打”は、チーム内では牧秀悟の6回に次ぐ5回を記録している。

「チームの力になれていれば本当に嬉しいですよね。試合では何点取ってもいいと思うので、打席の中で自分のできることをシンプルに考えて、いい方向性を示せればいいと思います」

　目指すはチームの勝利、そして25年ぶりのリーグ優勝と日本一を掴むこと。それを達成するために、宮﨑はDeNAに残ったのだから。

「優勝をするチャンスというのは、そうあるものではないと思います。だから“覚悟”をもってシーズンに挑んでいきたい。とにかく僕としてはベイスターズの野球を最後まで貫き通したい。ただ、それだけですね」

©JIJI PRESS

　驚異的な数字を残しており、個人的なことを訊きたいと思っていても、宮﨑と話しているといつの間にか話題はチーム主体になってしまう。ベイスターズがあっての自分ということを、苦労人である宮﨑は誰よりも理解している。だからこそ秋には、仲間たちとの歓喜の輪の中で屈託なく喜ぶ“ハマのプーさん”の姿を見てみたい――。

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