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DeNA宮﨑敏郎34歳に聞いた、打率4割&1000試合出場「最近言われて気づいた(笑)」…個人記録を気にしない“ハマのプーさん”の話
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byNanae Suzuki
posted2023/06/05 11:03
5月下旬まで“4割打者”となっていた宮﨑敏郎。“ハマのプーさん”として親しまれるヒットメーカーに「4割」「1000試合出場」について聞くと…
「そうなんですよ。あるポイントで打つことで、飛ぶ方向による善し悪しがあって、そこは自分でわかっている部分なんです。ボール1個2個ぐらいの差なんですけど、引っ張るよりも振り遅れのファウルのときの方が、いい感覚のときが多いんです」
しっかりとボールを呼び込んで、鋭いスイングができているということなのだろう。誰もが口をそろえて“天才”と呼ぶ存在だけに、宮﨑の見えている世界は常識外にある。
もうケガをしちゃうと長引いてしまう歳なので(笑)
そんな打棒を可能にしているのがコンディショニングだろう。昨年4月、左太もも裏の炎症により登録を抹消されたとき、久々の筋肉系のトラブルで宮﨑は「ショックでした……」と語っていたが、これまで以上に自分の体を繊細に管理しているという。
「いやもうケガをしちゃうと長引いてしまう歳なので(笑)。だからちょっとした変化も見逃さないようにセンサーを張り巡らせています。少しでも気になることがあったらトレーナーさんに相談したり」
首脳陣もコンディションに配慮し、宮﨑には定期的に休養を与えている。高打率の打者を外すことに批判的な意見もあるが、長いシーズンを考えれば、三浦大輔監督らの判断は納得できるものだ。チームにとって最大の痛手は、宮﨑の長期離脱である。
「休養」を宮﨑はどうとらえている?
ただ宮﨑は、プレーすることが大好きで、とにかく試合に出つづけたいタイプの選手。首脳陣の判断であり仕方がない部分もあるが、葛藤はあるのではないか。
「もちろん試合に出たい気持ちはありますが、整理する時間として割り切っています。まあスイッチは切れないので難しいところはあるんですが……。思うのは、後から試合に入っていく選手の気持ちであったり、代打の難しさ、途中から守備につく準備だとか、学ぶことの多い時間になっているってことですね。感覚的には渋滞をしたり、流れていたりと状況の違う高速道路にポンって入るような感じで、体と気持ちを一緒の流れに馴染ませるのは大変だなって。若いときも代打をやっていましたけど、またあのときとは違う視点、立場で野球や試合を見られるようになりました」
ここまでできるなんて夢にも思っていませんでした
主力であり、一方でベテランとしてチームを一歩後ろから俯瞰し、バックアップする役目も宮﨑にはある。