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DeNA宮﨑敏郎34歳に聞いた、打率4割&1000試合出場「最近言われて気づいた(笑)」…個人記録を気にしない“ハマのプーさん”の話
posted2023/06/05 11:03
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Nanae Suzuki
「いやー、目指したとしても、なかなか手の届かない数字なんで」
横浜DeNAベイスターズの宮﨑敏郎は、そう言うと、あっけらかんとした様子で笑った。
プロ11年目の今シーズン、神がかり的なバッティングで、開幕から5月25日の巨人戦までの約2カ月弱、打率4割をキープしていた“ハマのプーさん”。連日のようにヒットを量産する様子に『4割打者誕生か!?』と、気の早いメディアやプロ野球関係者はざわめいたが、渦中にいた当の本人は落ち着いたものだった。
まあ、いいときもあれば、悪いときもある
「まあ、いいときもあれば、悪いときもあると思っているんで、そこでどれだけ我慢することができるか。悪いときは悪いなりに、進塁打とかチーム打撃っていうのはできると思うんで、そんなことばかり考えていますよね」
宮﨑を取材するようになって時間が経つが、いつもこんな感じだ。私欲が希薄な自然体。とにかく自分の成績よりも、まずはチームのこと。このチームを思う献身の精神は、DeNAにとって掛け替えのない財産だ。2021年シーズン終了後、DeNAは当時32歳だった宮﨑と6年という大型契約をして世間を驚かせたが、選手としてはもちろん人間性を鑑みても、あらためて球団のこの判断は間違いのないものだったと思える。
34歳の今季、宮﨑はキャリアピークといえる成績で6月を迎えている。ここまで45試合に出場し、打率.380、10本塁打、OPS1.111(6月4日現在、以下同)は、ズバ抜けた数字だ。しかし、急に技術などを変えたわけではない。小学生のときから、誰に教わるわけでもなく、とにかくボールを遠くに飛ばすために作り上げてきた独自の打法。継続がすべてである。
あまり欲を出さずにプレーすることを心掛けています
「急に変えることはないんですけど、昔と比べれば変わってきていると思います。ただ、それを無理やり戻そうとか、そういうことはしていないんです」