草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
中日・根尾昂の「今季初先発」はなぜ5月末までずれ込んだのか…修正された「育成計画」と天才の現在地
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2023/05/31 11:02
5月18日のウエスタンリーグ・阪神戦に登板した根尾
つまり、初先発したということはそれだけ状態が回復し、フォームが安定したという証しなのだ。だから片岡二軍監督、根尾ともに「球数、イニングが収穫」だと発言したのだろう。打たれた、抑えたという結果よりも、しっかりとある程度の球数とイニングを投げきれるかの方がはるかに重要だった。そして、その基準はクリアした。
「次も見たいと思わせる内容」
少し遅れたが先発の経験値を上げるためのスタートラインには戻ってきた。そもそも投手転向後、5回以上を投げたのは2度目(公式戦では初)。ここからは打たれることも勉強。スタミナ切れで終盤につかまるのも勉強。港に停泊していた“根尾丸”は、外洋に向けて出航する。
片岡二軍監督は「次も見たいと思わせる内容だった」とも話しており、二軍コーチ陣も「しっかりとステップは上がってきています。ここからは先発として長いイニングを投げて、いろいろと感じてくれれば」と胸をなで下ろしていた。
大阪桐蔭で同学年の巨人・横川凱は、プロ初勝利を含む3勝2敗、防御率2.40とローテーションの一角を確保しつつある。先を越されて気にはなるだろうが、そんな感情を焦りではなく刺激にしてもらいたい。
大学に進んだと思えば、まだプロ入りしたばかり。覚えることが山ほどあるのはおかしなことではない。ポテンシャルの高さは誰もが知っている。汽笛を鳴らした根尾が、週に1度先発する試合を楽しみにチェックしたい。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。