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WBCで戦線離脱した広島・栗林良吏が登録抹消に…その裏には大会中に起きた”ある事件”が…浮かび上がる侍ジャパンのトレーナー問題
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2023/05/04 17:05
5月1日に登録を抹消された広島の守護神・栗林良吏。WBC期間中に戦線離脱を余儀なくされたが、その裏で起きた”ある事件”の影響はあるのか…
栗林の不調と登録抹消に思う”事件”の影響
こう唇を噛んだが、真っ直ぐもフォークも本来の姿がまったく見られなかった。その後の5月1日に、今度は右内転筋の強い張りで出場登録を抹消されている。もちろん直接的にWBCでのケガが、その後の不振と内転筋の張りにどう影響を与えたのかは分からない。ただ、観ていて「こんな投手ではないはずだ」という思いと共に、WBCでケガをする以前の投球を思うと、どうしても〝事件〟の影響を考えずにはいられないのである。
奇しくも栗林が中田にサヨナラ本塁打を打たれる直前の週刊誌で、そのヘッドトレーナーが「侍秘話」まで語っている。
その中で「自分がベンチ入りすると点が入るジンクスがある」と語り、栗林のことには触れることなく、源田の骨折の際のエピソードなどヘッドトレーナーとしての「秘話」を披露する姿には違和感を感じざるを得ない。トレーナーの施術中にこういう、ある種の〝事故〟が起こることは、皆無ではないことも分かっているが、やはり今回の栗林の不振と抹消を考えると、WBCで起こった出来事はきちんと書くべきだと思った。
このヘッドトレーナーにもWBC期間中の栗林のケガについて、事実関係の確認と自身の認識また今後のトレーナーのケア体制に対する意見を文書で質問したが、回答期日までに返事はなかった。
もちろんトレーナー陣が選手のケアをして、その献身的なサポートがあって、選手は思い切ってグラウンドでプレーができる。それだけトレーナーという存在が大きいということも、選手から何度も聞いてきたし、実際に施術の様子なども見て感じてきたことだ。
だからこそトレーナー問題は重要なのである。
人数や時間の制限のある中で、国際大会で選手が信頼して身体を預けられるトレーナー編成をどう進めていくのか。今回の栗林の〝事件〟を契機に、3年後に予定される第6回大会に向けた重要課題であることもここで明記しておきたい。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。