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WBCで戦線離脱した広島・栗林良吏が登録抹消に…その裏には大会中に起きた”ある事件”が…浮かび上がる侍ジャパンのトレーナー問題
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2023/05/04 17:05
5月1日に登録を抹消された広島の守護神・栗林良吏。WBC期間中に戦線離脱を余儀なくされたが、その裏で起きた”ある事件”の影響はあるのか…
結局、開幕直後に受けたその施術が原因で腰の違和感が出た栗林は、1次ラウンドで1度もマウンドに上がることなく離脱が決まった。
チームを離れることが正式に決まった豪州戦後、栗林は東京ドームのグラウンドで世界一を目指して約1カ月間、苦楽を共にしてきたナインと記念撮影。
「もちろん残念です。投げろと言われたら投げられると思いますが、全力でいけるかどうかは自分でも分からない」
こう語った無念の表情は忘れられない。
本人も語るようにケガそのものは、それほど重症ではなかった。チームに復帰後の3月15日にはキャッチボールを再開。本人が開幕に向かって再調整してスタートできたことで、〝事件〟も表面的には大きな問題にはならなかった。
トレーナー問題は次回WBCの最重要課題の1つ
もちろん広島球団はケガをした経緯が経緯なだけに、NPBに対して厳重に抗議。同時に他球団とも情報を共有しており、今回の取材では複数の球団の幹部も事実関係を認めた上で「今後、トレーナーの問題は3年後の第6回大会の最重要課題の1つだと思う」と語っている。
ただ、その一方で心配なのは開幕から栗林の投球が、一向に本来のキレを取り戻せていないことである。
4月4日の今季初登板となった阪神戦では、同点の9回にマウンドに上がり決勝点を奪われ負け投手となった。その後は4連続セーブをマークしたが、4月18日の阪神戦と23日のDeNA戦でも9回にマウンドに上がったが打ちこまれて負け投手になっている。
そして29日の巨人戦では1点リードの9回に勝利を託されたが、2死から岡本和真内野手を歩かせ、直後の中田翔内野手に甘く入った初球のフォークを左翼席上段に運ばれて逆転サヨナラ負けを喫した。
「迷惑をかけて本当に申し訳ない。何とかやり返したい気持ちしかない」