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1億部を売った作家・東野圭吾が生み出した”日本一上手いスノーボーダーを決めるコンテスト” 史上最高レベルに、あのオリンピアンも燃えた! 

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秋月透馬(文藝春秋)

秋月透馬(文藝春秋)Toma Akizuki

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photograph by“tochi” sato(SBM)

posted2023/05/02 17:01

1億部を売った作家・東野圭吾が生み出した”日本一上手いスノーボーダーを決めるコンテスト” 史上最高レベルに、あのオリンピアンも燃えた!<Number Web> photograph by “tochi” sato(SBM)

ベストセラー作家・東野圭吾氏が発起人の『スノーボードマスターズ(SBM)』。第4回の今年は五輪経験者やトッププロが多数参加して”史上最高レベルの大会”になった

男子の部は、大久保勇利が初優勝「賞金を自分の夢に!」

 男子の部の優勝は、初出場の大久保勇利。2位は岡本航、3位は永田浩範。大久保は、初日、2日目ともに、1位となり、大会初の完全優勝。賞金200万円の優勝記念ボードを掲げた。

「自分の夢と目標のために、資金が必要だったので出場を決めました。この賞金で、海外に行きます! 最高のフッテージ(映像)を残したいんです」

 平昌五輪後、コンペティションシーンから離れ、バックカントリーでのフリースタイルスキルに磨きをかけている大久保は、そう言って、目を輝かせた。

「少子化対策のために私たちがすべきこと」(東野圭吾)

 大会を終えて、東野氏は選手たちにこう語りかけた。

「金曜日の公開練習を含めて、この3日間、みなさんの滑りをみて、開催してよかったと心から思いました。

 最近、少子化のことが問題になっていますが、その根源には、大人が子供のことを考えていない、ということがあると思うんです。現代の日本には、子供が自由にパフォーマンスを発揮できる場所が少ない。私たちのような『じじい』がすべきことは、そんな場所をたくさん提供すること。スノーボーダーの皆さんが、経験したことのないような『遊び場』を作って、たっぷり遊んでほしかった。これまでもいい大会でしたが、今回は、特別に上手くいったと思います」

 大会の最後に、「ガリレオ」のテーマソングがBGMとして流れる中で、累計発行部数1億部を達成したお祝いの赤い薔薇の花束が、選手やスタッフから贈られると、東野氏は、「聞いてなかったなぁ」と破顔した。これまでの著作100冊を彩ったカバーとタイトルの映像が会場に映されると、「これ読んだ!」「知っている!」という声が次々に上がっていた。

 100冊で1億部ということは、1冊平均100万部を超えているということ。299万部を売り上げたガリレオシリーズ『容疑者Xの献身』をはじめ、加賀シリーズ、マスカレードホテルシリーズなど、東野氏は数々のベストセラーを刊行してきた。

 そのうえで続けた。

「来年はもちろんSBMを開催します。今日4位で賞金をつかめなかった人はさぞかし悔しいでしょう。腕を磨いてもう一度、大会に来てください。私ももう少し、(作家として)頑張ります」

 1億部のその先へ、101冊目となる新作の執筆を誓った。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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