「スキー場で指導するときは、義足であることは隠しているんですが、相手が『壁にあたっているな』ということを感じたときに、『僕は義足でも、これぐらい向上できるんですよ』と伝えるんです。そうするとみなさん、最初は驚きますが、そこからさらに頑張ってくれるんです。初日は51位タイでしたが明日も、そして次のパラリンピックでもみんなを驚かせたい」と語ってくれた。

女子の部の優勝は藤森由香。五輪４度のトップアスリートが得た「気づき」とは？

　昨日に続いて快晴となった2日目は「オブスタクル・スラローム」という、ゲレンデに配された様々な形のアイテムやハーフパイプのような壁を越えて、さらには急斜面を滑走するタイムトライアルが行われた。

　タイムを競う種目ながら、今季のスノーボードW杯開幕戦のビッグエアで優勝した大塚健は、自身の誇りを賭けてジャンプトリックをメイク。コースサイドからどよめきが起きた。ベストトリック賞を受賞した大塚は「普段の競技と違って、パイプがあったり、ナックルがあったり、いろんなセクションのあるコースでしたから、好きなように滑ることができて楽しかったです」と微笑んだ。

　女子の部の優勝は、2006年、トリノオリンピックから4大会に出場した藤森由香。2位にはJSBAデモの本多未沙、3位に入ったのは昨年SBM優勝者の冨田るき。女子の優勝者には東野氏から、100万円の優勝記念ボードが手渡された。

女子の部で優勝した藤森由香（中央）、2位の本多未沙（右）、3位の冨田るき。それぞれ賞金額が記入されたボードを掲げる　©︎Shigeki Yamamoto

　藤森由香は、大会をこう振り返る。

「今シーズンで、一番楽しかったパークでした。SBMに出てよかったと思ったのは、新しい発見があったことです。最初はスノーボードクロスで、平昌からはスロープスタイルでオリンピックを目指してやってきましたが、今大会でカービングのとてつもない『技術』と『美学』があることを痛感しました。これからの課題が見つかったんです」

優勝した藤森由香は「今シーズンで一番楽しかった」と大会を振り返った　©︎Shigeki Yamamoto

　表彰式の後、東野氏のもとに駆け寄り、「私たち『スノーボードバカ』のためにSBMを開いてくださってありがとうございました！」と気持ちを伝えた。

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