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「頼む、行ってくれ」8年前のドラ1・ロッテ平沢大河(25歳)“4年ぶりの一発”を打てた理由とは? レジェンドに学んだ“準備の大切さ”
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2023/05/02 11:03
粘り強い打撃でチームに貢献するロッテ平沢大河(25歳)。本職ではない外野の守備でも球際の強さが光る
「いいところで打てて本当に嬉しかった。あの瞬間のことをはっきりと覚えていないくらい興奮しました」
試合後はたくさんの祝福の連絡を受けたという。地元の友だち、知り合い、仙台育英高校時代の仲間たち、さらには当時のチームメイトの親からも連絡が来た。久々にやりとりをした人もいた。改めて、多くの人がプロの世界で自分が活躍することをずっと応援し続けてくれていることを感じた。こんなにありがたいことはない。なんともいえない心強い、幸せな気持ちに包まれた。
“宮崎”でキャプテンに指名「燃えるものがあった」
2016年にドラフト1位で入団。18年には自己最多の112試合に出場し、打率.213、5本塁打、32打点という成績を残したが、その後は苦しい日々が続いた。
翌19年は51試合の出場にとどまると、20〜21年は右ひじの骨棘切除・遊離軟骨除去術もあり、一軍未出場。昨季もわずか13試合の出場に終わっている。
特に、自身が一軍未出場に終わった20〜21年はマリーンズは優勝争いを演じたが、そこには年下の安田尚憲内野手、藤原恭大外野手といった選手が一軍の試合で躍動する姿があった。
「そういう時って、悔しくて見ていないという人もいるかもしれないけどボクは見ました。見るようにしていました。今、こういう気持ちなのかなあとか、ボクだったらこの場面でどうするか、この打席でどんなボールを待つかなどを考えながら見ていましたよ」
迎えた2023年、強い気持ちでユニホームに袖を通した。昨年10月、宮崎で行われていた「みやざきフェニックス・リーグ」で就任したばかりの吉井監督が視察に来た際、同リーグ期間中のキャプテンに指名された。
指揮官はこの時のことを「来年、一軍でチームを引っ張る活躍をしてくれているイメージがあったので、期待を込めて、メッセージも込めてキャプテンに指名した」と話す。そして指名を受けた平沢も「自分も期待をしてくれていることが分かった。燃えるものがあった。頑張ろうと思った」と、気持ちを高めた。