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誹謗中傷を見て「競技を続ける意味あるのかなぁ」32歳で引退、下門美春に聞いた“女子陸上選手の日常”「集団走で後輩のナプキンが落ちて…」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2023/05/04 17:01
プロ選手となり、批判もダイレクトに届くようになったと語る下門美春さん。SNSでの批判や生理など選手として直面した問題を明かしてくれた
「若い時は、生理が止まってしまい、普通に戻すように薬を飲んでいたのですが、フリーターをして再度、競技を始めた頃には定期的に生理が来るようになりました。でも、30歳手前ぐらいからPMSが重くなり、30歳を超えると眠いし、だるいし、頭もお腹も痛いし、全然動けなくなったんです。その時、ピルを飲んだんですけど、全然体に合わなくて……。ずっと気持ち悪いので、それなら生理が普通に来た方がまだ楽だと思うくらいにダメでした。いろんな種類のピルがあるんですけど、最初のイメージが悪くて、それからは飲まなくなりました」
今は、経血を止めるためにミレーナは使用している。ピルの薬とは異なるが、避妊具としてだけではなく、過多月経などに臨床応用が可能だ。
実業団時代のある経験
「実業団時代に集団走をしていた時、雨が降って来て、最後の200mぐらいで後輩のナプキンが落ちてしまったんです。雨や汗で粘着性がなくなってしまったんだと思うんですけど、そうなると気になってしまうじゃないですか。雨のレースや真夏のマラソンで水を多くかぶらないといけない時、ナプキンやタンポンってどうなんだろうって考えるならいっそミレーナで経血を止めた方がいいのかなと思ったんです」
人によって症状が異なり、経血の量も異なるが、競技をしている時は集中したいと感じるのは同じだ。後輩などから相談されることが多いというが、まったく知識がない子も多く、「若い選手には何がいいのかというのはこれからも考えていきたい」と今後も生理というテーマについては真摯に取り組んでいきたいと考えている。
これからも下門さんは、女性目線でのアスリートの支援をつづけていく。
女子選手の育成やサポートに携わりながら、ゆくゆくは実業団での指導もやってみたい、そんな将来像を思い描いている。彼女なら競技力だけではなく、魅せることも両立して、面白いチームを作ってくれそうだ。
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