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誹謗中傷を見て「競技を続ける意味あるのかなぁ」32歳で引退、下門美春に聞いた“女子陸上選手の日常”「集団走で後輩のナプキンが落ちて…」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2023/05/04 17:01
プロ選手となり、批判もダイレクトに届くようになったと語る下門美春さん。SNSでの批判や生理など選手として直面した問題を明かしてくれた
「まったく考えられないですね(笑)。コーチは管理する側なので、嫌なところを突いてくるわけじゃないですか。それにすでに結婚されている方が多いですし、トレーナーさんとかもかなり年配の人でしたので私のチームではなかったです。逆に、競技会や大会で高校の先輩や同期の男性と会って話をしていると、『今の誰?』ってめちゃ聞かれて、そういうところはチェックされているなぁって思っていました」
実業団は恋愛禁止なのだろうか。
「禁止ではないです。むしろ、山下(佐知子)監督は、『恋愛とかどんどんして。そういう話で女の子は楽しくやっていけるから』とウエルカムでした。でも、たまに恋愛に気持ちが行き過ぎて練習に身が入らない子もいたので、当たり前ですがそういう選手には厳しかったですね。私は、競技している間、彼氏はいなかったです。競技に集中してしまうと私の周囲が別世界になってしまうので」
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ランニングウエアを着てスイッチが入ると、「走ること以外、何も見えなくなる」ということらしい。
給与は?
どこの実業団の選手も社業をしながら走るのは同じだが、給与はそれぞれ異なる。ある実業団では設定タイムをクリアするとポイントとして加算され、それが翌月の給料にプラスされて反映される仕組みだった。たくさんレースに出て記録を出せば翌月の基本給にポイントとして上乗せされ、給料もそれに応じてアップする形になる。
「私は、高卒だったので基本給が少なかったんです。だからポイントやボーナスのような形での上乗せは大きかったです。別の実業団では例えば5000mで規定のタイムを出したり、マラソンで勝ったりすると翌月から3カ月~半年間給与にボーナスとして数十万円が上乗せされる。みんな、寮生活なので基本的にお金はかからないので、貯金に回す人が多かったですね。あとは、好きなことに使う感じです。私は田舎出身なので都会への憧れがあって、休みは渋谷や新宿のカフェに行ったり、洋服を買いに出かけていました」
誹謗中傷を目にすると…
オフには野球の試合を良く見に行った。中学でソフトボールをしていたので野球が好きでヤクルトと山田哲人の大ファンだ。勝ちゲームの時はSNSで「すわほー」と投稿する姿が微笑ましい。