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ドルーリー朱瑛里15歳も「過度な取材は控えて」 10代選手への“日本の過剰なマスコミ”の大問題…安藤美姫や岩崎恭子らも苦悩を明かしていた
posted2023/02/06 17:10
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
JIJI PRESS
2月5日に開催された全国中学生クロスカントリー大会(びわ湖クロカン)は、試合とは別の面でクローズアップされた。エントリーしていたドルーリー朱瑛里の欠場と、その経緯が多くの反響を呼んだからだ。
この1カ月弱、中学3年生のドルーリーは脚光を浴び続けた。多くの記事が掲載され、テレビのワイドショーでも取り上げられた。
きっかけは1月15日に行われた全国都道府県対抗女子駅伝だった。3区に出場したドルーリーは38位でタスキを受けると21位でつないだ。実に17人抜きを達成し区間新記録をたたき出したのだ。以前からトラックで好成績を残していたが、この駅伝を機にその名は陸上界を超えて知られるに至った。「10年に一度の逸材」「日本陸上界の宝」といった言葉も飛び交った。
1月29日には「晴れの国 岡山」駅伝に出場、3人抜きの区間新記録で駆け抜けた。岡山の大会であり全国的に報じられることは例年ならあまりないが、この日は異なった。沿道にはいつにないほどの観客が詰めかけ、報道陣も足を運んだ。全国放送のニュースなどでも扱われたのは、異例のことと言えた。ドルーリーの走りを伝えるためだった。
ドルーリーが明かした「過熱報道への戸惑いと恐怖」
この駅伝に続いて予定していたのが全国中学生クロスカントリー大会であった。だが大会を前に欠場を発表。理由をコメントとして公にしているが、ドルーリーはこう綴っている。
「クロカンは走ったことがなく、挑戦したい気持ちで申し込みをしましたが、先日の晴れの国駅伝を経験して、報道の方々への対応や、周りの方々からの撮影や声かけの対処にとても不安を感じましたので、やむを得ず琵琶湖クロカンには出場しない決断をしました。
都道府県対抗駅伝後の環境の変化で、練習が以前のように自由にできなくなり、過度な報道で精神的にも疲れることが多かったです。自分が発言していないのに、学業や趣味など陸上以外の事も大きく報道されて戸惑いました。
一部の雑誌記者は近所や関係者に取材し、同級生の自宅も調べて取材に行ったようです。私のために、周りの方々に迷惑をかけることはしたくありません。過度な取材は今後控えていただきたいです。
YouTubeや TikTokには、たくさん私の動画が上がっています。応援の思いも込めて動画をアップしてくださっているのだと思います。気持ちはとても嬉しいのですが、私の肖像権を無視して動画等をインターネットに上げる行為はやめていただきたいです。また、収益目的で名前と画像等使用することもやめていただきたいです。今後もっと無断で撮影される事が増えていくのではないかと考えると、とても不安です」