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「感じねえんだよ、気持ちをよ!」鈴木優磨が鹿島サポーターの罵声を浴びて…“ホームで5失点惨敗”カメラマンが目にした名門の苦悩 

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原壮史

原壮史Masashi Hara

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photograph byMasashi Hara

posted2023/04/19 17:01

「感じねえんだよ、気持ちをよ!」鈴木優磨が鹿島サポーターの罵声を浴びて…“ホームで5失点惨敗”カメラマンが目にした名門の苦悩<Number Web> photograph by Masashi Hara

首位のヴィッセル神戸にホームで1-5と大敗し、サポーターの罵声を浴びた鈴木優磨。鹿島アントラーズは8節を終えて15位と低迷している

巻き返すチャンスは、まだある

 もちろん、それでも勝利を信じる気持ちは残っている。柏戦でゴール裏に居残り、野次と共に岩政大樹監督のチャントを(否定的なニュアンスを込めて)歌い続けたサポーターたちは、神戸戦では練習前に同じチャントを正しい文脈で使って激励した。すると岩政監督は、試合前にもかかわらずゴール裏に異例の挨拶に現れた。

 互いに悔しい気持ちはあるし、繋がりを大切にしたい気持ちもある。9日の柏戦後、選手たちはバックスタンド寄りのゴール裏で挨拶をするとロッカーへ戻っていったが、昌子が全員を呼び戻し、メインスタンド寄りで2度目の挨拶をした。昌子は神戸戦でも試合後、ゴールと看板の間、なるべくサポーターに近い位置でしっかりと挨拶するようにチームを先導した。言葉にならない悔しさや悲しさを必死に堪えていることが、表情から伝わってきた。

 サポーターは強い鹿島を見たい。選手は強い鹿島を見せたい。ハーフタイムに続いたチャントも、試合中の鈴木の一挙手一投足も、試合後のゴール裏の光景も、形はどうあれ、その情熱がまったく萎えていないことの証左だった。

 ゴール裏から去っていく鈴木はうつむいていたが、チームを背負う人間として、必要以上の悔しさも悲しさも怒りも見せず、静かに姿を消した。彼に続いて引き揚げるチームに送られた大多数のサポーターからの拍手は、勝利への気持ちをより強くさせただろう。

 史上初のJリーグ3連覇を成し遂げた2009年の勝ち点は66。昨年の覇者マリノスの勝ち点は68。現時点で勝ち点7の鹿島だが、最大であと78ポイント獲得できる。巻き返すチャンスは、まだある。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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