琢朗「でも、そのころにはもうプロになると決めてはいただろう？」

　さやか「思ってた。思ってたけど、『テニスが嫌だ』って言ったとき、『もうちょっと頑張ってみなさい。せっかくここまで頑張ってきたんだから』とお母さんに言われて、もう1回踏ん張ってやってみようと思った。

　そこから気持ちを立て直して、そのタイミングで試合も再開されて、テニスを好きな気持ちも少しずつ戻ってきた。それで、2021年夏の全日本ジュニア18歳以下を（15歳で）優勝できたときだったな。プロになる本当の覚悟ができたのは」

　琢朗「お母ちゃんには感謝しないとな。あらゆる面で。父ちゃんはいいからさ」

将来は、センターコートで娘を応援したい

　そうした葛藤を経て、さやかは21年9月、練習拠点をTEAM YONEZAWAから米フロリダ州のIMGアカデミーに移した。

現在はアメリカを拠点にしている石井さやか　©Hiromasa Mano

　さやか「覚悟ができて、IMGに行くことにしました。IMGはテニスに対する取り組み方、考え方が、いろいろな意味で日本とは違う。ここに来てよかったと思います」

　琢朗「さやかはいま世界を相手に戦ってる。その意味ではすでに親を超えてるんですよ。将来は、センターコートで娘を応援したい。ウィンブルドンなら最高ですね」

＜「きっかけ」編とあわせてお読みください＞

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