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「お父さんが倒れた」石井琢朗妻はパリから札幌へと向かった…テニスで海外転戦の次女・さやかも感謝する“母の献身” 「あんなタフな母ちゃんはいない」
posted2023/04/17 11:01
text by
赤坂英一Eiichi Akasaka
photograph by
Yuki Suenaga
横浜DeNAベイスターズ・チーフ打撃コーチ石井琢朗(52)の次女、女子テニスのさやか(17)が今年、ジュニアからプロに転向した。ここまで来るのに、「感謝しかない」と父子ともに口をそろえるのが、母・詩織(47)の愛溢れる献身的なサポートである。(全2回の2回目/#1からの続き)
海外遠征でハラハラ
家族そろって東京に戻り、さやかが中1でTEAM YONEZAWAに入ると、海外遠征に出かける機会が増えた。イギリスやフランスのような先進諸国だけではなく、中東のトルコやアフリカのチュニジア、東欧のセルビア、東南アジアのカンボジアなど、日本人には馴染みの薄い国でも試合に出場している。
そうした国々を転戦している最中、「怖いと思ったことはない」とさやかは言う。ただ、「困ったこと」はよくあった。
さやか「セルビアに行ったとき、私ひとり、チームと離れてデンマークに移動したことがあるんですよ。他の選手は『じゃあね~!』って先にデンマークに行ったんですけど、私だけセルビアで決勝を残していましたから」
そのときは、チームのコーチがセルビアのTD(トーナメントディレクター)にさやかが安全に移動できるよう依頼。試合後に空港まで送ってもらい、無事デンマークまで移動することができた。
さやか「ただ、携帯電話のバッテリーが切れていたんですよね。充電器も持っていなかったから、誰とも連絡が取れなかった」
さやか「ピザは一生食べたくない!(笑)」
そういう話を、さやかは実にあっけらかんと、いかにも楽しそうにしゃべる。このときばかりは、隣の父親も感心しきりだった。
琢朗「まあ、わが娘ながら、羨ましいというか、逞しいなあ、と思いますね。僕が中学生のとき、帯同してくれるコーチがいても、親と離れて名前しか知らない国々を回れるかといったら、とても回れませんよ」