- #1
- #2
JリーグPRESSBACK NUMBER
「現役にしがみつきたい」“クビを経験した男”小野瀬康介29歳の新境地…“カズさんの姿勢”に学んだ「好きなことを仕事にする喜び」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph bySHONAN BELLMARE
posted2023/04/20 11:15
2月18日の開幕節で湘南ベルマーレ移籍後ゴールを決めた小野瀬康介。今季すでに2得点1アシストと、爆発の予感を漂わせている
「現役にしがみつきたい」カズとの自主トレで得た刺激
──少なくとも何歳まで現役でプレーしたい、といったものはありますか?
「プロになった頃は、32歳ぐらいまでやれたらいいなあと思っていました。でもやっぱり、できる限りやりたいですよね。このチームでも37歳の山本脩斗選手がバリバリにやっていますし。ベルマーレは自分より年齢が上の選手が意外に多くて。好きなことを仕事にするって、誰でもできることではないですよね?」
──そう思います。
「そう、ですよね……。そんなに幸せなことはないので、『現役にしがみつく』ぐらいの気持ちでやりたいです」
──個人的にはスマートなプレーヤーのイメージもあったので、小野瀬選手の「しがみつく」といった言葉はとても新鮮です。
「もっとカッコつけたほうがいいですか(苦笑)」
──いえいえ、いまのままで大丈夫です(笑)。選手寿命ということで触れると、横浜FCのチームメイトだったカズ(三浦知良)選手には驚かされるばかりですね。56歳で現役ですから。
「とんでもないですね。去年の12月に一緒に自主トレをやらせてもらいましたけど、ハートの部分が違うなと改めて感じさせられました。試合に出たい、長く出たいという気持ちを練習から感じますし、そのための準備をしっかりやっている。カズさんのその姿を見て、自分も頑張ろうと刺激をもらいました」
──年齢を重ねることで、サッカーのとらえ方が変わってきたところはありますか? 若い頃にはなかった気づきがある、とか。
「どうですかね……見える範囲が増えてきたのはあります。去年までプレーしたガンバでも、ベルマーレでも、人間がやっているスポーツだからなのか、スコアが動いたときにバタバタしたりするのは同じだなと感じたりします。去年までのガンバは、サッカーを確立している過程にありました。それに対してベルマーレは、智さんの就任前から『走る、戦う』という部分を根づかせて、それにプラスして『ボールを握る、動かす』ということを植えつけている。ガンバよりサッカーが出来上がっている印象があります。そういうチームでも、バタつくことはあるんだなと。技術だったり身体能力だったりは大事ですけれど、やっぱりハートの部分が一番大事なのかなと思いますね」