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「開成高野球部、1000年に1人の逸材」偏差値70超・東大合格者全国1位の開成高から東大野球部で主力になった“スゴい天才”ってどんな人生?

posted2023/04/04 11:04

 
「開成高野球部、1000年に1人の逸材」偏差値70超・東大合格者全国1位の開成高から東大野球部で主力になった“スゴい天才”ってどんな人生?<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

東大野球部のリードオフマンとして活躍した宮崎湧。4月から日本通運の硬式野球部に入部。宮崎には「開成、1000年に1人の逸材」というキャッチコピーがある

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沼澤典史

沼澤典史Norifumi Numazawa

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Sankei Shimbun

東京大学の合格者数において、41期連続トップ、全国にその名をとどろかせる名門・開成高校。偏差値70を超える日本有数の最難関校出身者には、岸田文雄総理大臣をはじめ、政界、経済界、財界などに錚々たるOBが並んでいる。一方で、近年は開成から東大野球部へ入部した選手が、リーグ戦で活躍し、社会人野球まで挑戦するケースが目立っている。開成に入ることで学業エリートの道を選んだはずの彼らは、どのような思いで野球に取り組んでいるのだろうか。 【全3回の1回目/#2#3へ】

◆◆◆

「開成、1000年に1人の逸材」と呼ばれた男

 東大野球部で活躍した宮崎湧(崎の字は、正しくはたつさき)は今年3月に東大を卒業し、4月から強豪社会人チームとして知られる日本通運の硬式野球部に入部した。開成高校から現役で東大に合格し、野球部では3年生から外野手としてレギュラー出場。4年生では副将を務め、リードオフマンとしてチームを牽引した。

 東京六大学野球関係者には広く浸透しているが、宮崎には、「開成、1000年に1人の逸材」というキャッチコピーがついている。自称なら相当な自信家だし、他称ならば発信源が気になるところだ。大仰な文句について、本人はこう話す。

「本当に勘弁してほしいんです。もともとは、開成高校野球部監督の青木秀憲先生が、高校3年の夏の大会前に、新聞の取材に応えた言葉が発端。『貴校の各選手について、コメントをほしい』というアンケートで、『1000年に1人』と書いてしまったんです」

 控えめな好青年といった雰囲気の宮崎にとっては、高校時代の黒歴史。東大入学後はひた隠しにしていたが、いつの間にか噂になっていたそうだ。

「開成野球部の同期が僕を含めて5人も東大野球部に入っているし、そこから漏れた可能性が高いとにらんでいます。しかも東大の中だけで済めばまだよかったですが、他大学の選手からも、『おっ、1000年に1人じゃん』とニヤニヤしながら声をかけられて、めちゃくちゃいじられるようになりました」

「東大野球部に行く気はなかった」

 そんな逸材は、小学2年生から野球を始めた。野球のかたわら、4年生から塾にも通い、そこで開成受験を意識したという。

「初回のテストの成績が良かったので、飛び級のように上位のクラスに入れたんです。その頃から父親に『開成行けるぞ』と言われ、開成がなんなのかわからないまま目指すように。それからは洗脳されたように、開成しかないという意識で勉強していましたね」

 結果、見事開成に合格。開成中学には軟式野球部、開成高校には軟式野球部と硬式野球部があるが、いずれも強豪というわけではない。

【次ページ】 「東大野球部に行く気はなかった」

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