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「オオタニはもはや“三刀流”」韓国人記者がイタリア戦で感じた最強侍ジャパンの「羨ましい」強さ「“名不虚伝”のヨシダ」「見習うべきはイマナガ」
text by
姜亨起Kang Hyeong Gi
photograph byNaoya Sanuki
posted2023/03/19 11:02
WBCラスト登板と目されることもあってか、イタリア戦で気迫を押し出して先発し、4回2/3を投げた大谷
「今永は国際大会でも十分先発を任せられる資質を持っています。ただ、何せ日本の投手層は厚すぎる。それでも、韓国戦とイタリア戦では“架け橋”の役割を忠実に果たしました。
身長178cmと決して大きいわけではないのに、今永はいとも簡単に150キロ超えの速球を投げているように感じます。あの安定した下半身が、球威のあるストレートを生み出す原動力なのでしょう。彼の成長過程は我々も参考にすべきです」
ついに目覚めた侍ジャパンの主砲
一方のキム記者は、2安打1打点を記録した村上のポテンシャルにも着目していた。「村上が重要なトーナメントの舞台でついに目覚めました……。個人的には、牧秀悟(DeNA)の右邪飛でタッチアップし、三塁にヘッドスライディングした場面がとても印象的でした。村上がいよいよ目覚めたことで、元々強かった日本がさらに強くなりましたね」と、日本でのラストゲームで復調した主砲を評価していた。
村上は4番として出場した1次ラウンドで打率1割台と不振だったが、準々決勝では吉田と入れ替わり5番に入った。この采配を見せた栗山英樹監督に、チョ記者は一種の“勝負師気質”を感じたという。
「栗山監督率いる日本代表は、変化に柔軟な姿勢を持っていると感じます。だからこそ、村上を準々決勝の大一番で5番に下げる変更を断行した。結果、4番の重圧から解かれた村上は復活し、200%満足できる成果も出た。指揮官はこだわりと信頼も重要ですが、時には局面を打開するための妙案が求められます。その意味で、栗山監督は勝負師としての要素を持ち合わせていると思います」
キム記者が最後に語ったのは、過去の代表と比較した今大会の侍ジャパンの強みだった。
「過去の日本の戦い方と言えば、細かい野球や作戦に長けた“スモールボール”でした。ただ、今回はそこに“パワー”が加わった。大谷のような強打者でもバントができるディテールもあれば、どの選手も長打を放つ力がある。さらに、何より飛び抜けていると感じたのは、イタリア戦でチーム全体の被四球が8つに達した選球眼です。第三者で見た立場としては、驚いたというのはもちろんですが、羨ましい、というのが率直な本音です」
盤石な戦いぶりで準決勝まで駒を進めた侍ジャパン。この先、決戦の地マイアミで繰り広げられる熱戦を、韓国の野球ファンや関係者も遠く離れた地から注目しているはずだ。
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