チョ記者は大谷を見て、「もはや『三刀流の選手』と呼んでもいい」という。1次ラウンド開幕から準々決勝まで日本で現地取材を続けてきたチョ記者にとって、イタリア戦は「“リーダー大谷”を確認できた試合」だった。

「日本の最年長はダルビッシュですが、実質的なリーダーは大谷だと思っています。彼は選手として二刀流の活躍をしながら、ダッグアウトではリーダーのような役割を果たしている。準々決勝では記録以上に大切な価値を見せてくれた。改めて、大谷が替えの利かない存在であることを実感しました」

メジャーリーガー吉田正尚の強烈な残像

　また、大谷の次に印象的だった選手として、2人の記者が挙げたのは吉田正尚（レッドソックス）だった。

　特にキム記者は、1次ラウンドの“日韓戦”で5打点と活躍した吉田を対戦相手ながら「レッドソックスが“大型投資”した理由がわかった」と絶賛していたが、準々決勝でも3打数1安打2打点と結果を残した姿に驚愕したという。

　吉田のパフォーマンスを「その名に恥じない」を意味する韓国の四字熟語「名不虚伝（ミョンブルホジョン）」と表現するとともに、WBC初アーチとなる7回のソロ本塁打については「まるでレッドソックスのファンに『私が来た！』と叫んでいるようだった」と語っていた。

ここまで全試合5番として先発した吉田は、イタリア戦で初めて4番を務め、7回に本塁打を放った　©Naoya Sanuki

　チョ記者も「まだメジャーリーグでデビューもしていない選手が、春季キャンプを差し置いてまでWBCに参加している。彼の代表に対する使命感は計り知れない」と、吉田に一目置いているようだった。

　そんなチョ記者が「韓国の投手たちが一度は見習うべき選手」と強調したのが、3番手で登板した今永だ。

　韓国戦でも3回1失点と好投した今永を見て、自らの記事で「韓国が望むべきは大谷や佐々木朗希（ロッテ）のような突出した才能ではなく、今永のような投手だ」と書き記したチョ記者が、「韓国の投手が見習うべき」と断言する理由はどこにあるのか。

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